最近、当事務所には下記のようなご相談が続けて寄せられています。
「知らない人から在留カードの提示を求められた」
「本来必要のない場面で、在留カードの提示を求められた」 などです。
こうした声を受け、今回は在留カードとはどういったものか、そしてどのような場面で使用するものなのかについて、わかりやすく解説したいと思います。
在留カードは、日本で3ヶ月以上の中長期の在留資格をもって暮らしている外国人の方に発行される、身分証明書のようなカードです。
このカードは、パスポートの代わりとして常に携帯する必要があります。
在留カードには主に次のような情報が記載されています。
つまり、重要な個人情報が詰まった大切なカードということです。
在留カードは、入国管理局での手続きのほかにも、次のような場面で使用されます。
たとえば、古着や古本を売るとき、または役所での手続きなどで、身分証明書として使われることがあります。ただし、運転免許証などの他の公的な身分証明書があれば、在留カードを提示しなくてもよい場合が多いです。
よくある例としては、警察官から職務質問を受けたときに、在留カードの提示を求められることがあります。
在留カードは常に携帯する義務があるため、この場合は運転免許証などでは代用できません。
銀行などで口座を開設するときにも、在留カードの提示が必要です。
最近では、口座の有効期間が在留期間と連動することも増えているため、在留期間の更新や資格の変更をした際には、銀行などで在留カードの情報を更新する必要があります。
外国人を雇用する企業は、その人が適切な在留資格を持っているかどうかを確認する義務があります。
そのため、面接や入社時の手続きの際に、在留カードの提示が求められます。
このように、法律に基づいて、必要に応じて個人情報や在留資格を確認するために在留カードの提示を求められることがあります。
簡単に言えば、日本人にとっての運転免許証のようなものです。
知らない人にいきなり「免許証を見せて」と言われても、日本人は普通見せませんよね。それは、運転免許証が大切な個人情報だからであり、正当な理由や権限がない人には見せる義務がないからです。在留カードも同じです。上記のような正当な理由がある場合に限って、提示を求めることができます。ですので、たとえ街中で誰かに「在留カードを見せて」と言われても、その人が警察官などの正当な権限を持つ人でなければ、見せる義務はありません。
在留カードは非常に重要なものですが、それゆえに偽造された在留カードが出回っているという事実もあります。
たとえば、働く資格がない外国人が仕事を得るため、あるいはオーバーステイ状態の人が身分を偽るために、偽造カードを購入するケースがあります。
現在でも、偽造カードを作るグループが摘発されることがありますが、市場には依然として多くの偽造カードが出回っていると考えられています。
無関係な一般の人が、勝手に在留カードを見せるよう求めることはできません。しかし、外国籍の人を雇用する企業には、在留カードの確認義務があります。この確認を怠ると、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
また、偽造カードは非常に精巧に作られており、見た目だけでは本物かどうかを判断するのは難しいのが現状です。
そこで、出入国在留管理庁(入管)は下記の2つの確認方法を提供しています。
1. 在留カード等番号失効情報照会
以下のURLから、在留カードに記載された番号や在留期限を入力することで、そのカードが現在も有効かどうかを確認できます。
https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx
2. 在留カード等読取アプリケーション
スマートフォンなどにインストールできるアプリで、在留カードに埋め込まれたICチップ内の情報(氏名や顔写真など)を読み取ることができます。
読み取った情報とカード表面の記載を見比べることで、本物かどうかを簡単に確認することができます。
アプリは下記のURLからダウンロードできます。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.html
繰り返しになりますが、これらの確認方法は、企業など確認義務のある立場の人が、外国籍の本人の同意を得たうえで使用することが前提です。本人の同意がないまま無断で使用することはできませんので、ご理解ください。
在留カードは、多くの個人情報が記載された非常に重要なカードです。
関係のない人や権限のない人に対して、見せる必要もなければ、見せる義務もありません。
ただし、外国籍の方を雇用・採用する場合には、慎重な確認作業が求められます。
その際には、上記で紹介したアプリなどを利用することをおすすめします。
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