2023年8月1日から興行ビザが改正され新しいルールでの運用が始まります。
この新しいルールでは、それまでの「会場に関する厳しい基準」が大幅に緩和されたことに特徴があります。その他にもビザ申請者に必要だった芸能活動の経歴や実績などについても会場にの種類によって省略されます。
ここからは新しい興行ビザの種類ごとに、どんな会場で、どんなイベントがあてはまるのかをお伝えします。
ちなみに必要な書類などの詳細は当事務所の興行のページで詳しく解説していますので、そちらもご参考ください。
まずは基準1号を解説します。
この基準1号は日本での目的が「演劇、演芸、歌謡、舞踏又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行をおこなうこと」の場合に該当します。平たく言うと、ライブやコンサート、フェス、芝居などが対象です。
そして基準1号は下記のように大きくイ・ロ・ハの3種類に分かれています。
風営法に該当しない比較的小さな会場(100席以下)で行なう場合があてはまります。つまり小規模なライブハウスといったところです。
新しい条件は以下の通りです。
変わったポイントとしては以上のとおりですが、内容はかなりの規制緩和になります。2年以上の実績が無くなったのであればデビューして間もない新人アーティストの公演も可能性が開けますし、何しろ13㎡のステージとか9㎡の休憩室とか、会場に関する細々とした規制がないので公演場所の選択肢も広がることになります。
この(ロ)は、主催者や会場の大きさや出演料などのよって5つの種類が用意されています。
すでに発表されている内容では「客席において飲食物を有償で提供しない」という部分の運用について、「客席と一体性のある場所に設置されているバーカウンター等で飲食物を提供する場合であっても、客がバーカウンターにおいて飲食物を受け取り、自ら客席に運んで飲食する場合は、客席において飲食物を提供することには当たらない」ことになりました。
さらに「客席の定員が100人以上」という部分についても、「客席が設置されていないライブハウス等で、スタンディングで100人以上収容できる施設」も認められます。この運用方針であれば、少し大きめのライブハウスならばかなりの会場が該当するのではないかと思われます。
この(ハ)は、(イ)と(ロ)にあてはまらない場合です。こちらは残念ながら従来の厳しい規制がそのまま残っています。具体的には風営法第2条第1項の第1号から第3号の業種(キャバレーなど)の会場では、これまでの興行ビザ基準1号の規定がそのまま残り(イ)では必要のなくなったビザ申請者の経歴や会場に関する規制を受けることになります。
プロ野球やJリーグで活躍する人や、大相撲の外国人力士などが対象です。こちらの新基準2号については従来のルールから条件や内容などについて特に変更はなく、名称が旧基準3号から基準2号に変更になったといったところです。
これまでの旧ルールでは基準4号とされていたもので、こちらも内容や条件に特に変更はなく、名称だけが4号から3号に変更された感じです。
2023年8月からの新ルールは大幅な規制緩和といえると思います。
これまでは小さな会場だから申請のたびに会場に関する多くの資料を毎回揃えていたような面倒もなくなります。そしてデビューしたてで大人気だけど実績のないアーティストは呼べない、なんていうことも無くなってゆくのではないでしょうか。
基準1号(イ)では大幅な規制緩和が行なわれていることはこれまでお伝えした通りです。しかし3年以上のプロモーター経歴という条件は残ったままです。当事務所にもこれまでこの規制について多くのご相談をお寄せいただいておりました。
しかし今回の変更で基準1号(ロ)の4であれば、会場がスタンディングで100人収容で、バーカウンターがあってもセルフ方式であれば、招聘者側に3年以上プロモーター経歴は必要なくなります。また会場が小さくても、市町村の文化ホールなど非営利の会場を利用すれば同じくプロモーター経歴は必要ありません。
つまり基準1号(ロ)の4の会場に関する基準をクリアしておけば、これまで断念していたイベントの企画などでも興行ビザの許可が見込める可能性が高くなります。
そして各基準共通でこれまで最短「15日」だった在留期間が「30日」に拡大されたことも大きなポイントです。15日では企画しづらかった各地でのツアーなども「30日」の在留期間なら余裕をもってスケジュールが組めるのではないでしょうか。
これから外国人アーティストのイベントを計画されている方は、ぜひこのような興行ビザの新基準も織り込んだ企画をお考えいただければ幸いです。
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