査証手数料見直し報道と関連する「COE申請」の基礎整理｜2025年時点の制度をわかりやすく解説

最近の報道（2025年11月〜12月上旬頃）では、外国人の日本での受け入れに関わる入管手続きの在り方や、査証（ビザ）手数料を現在より大幅に引き上げる方向で検討していることが取り上げられています。

 

こうした背景を踏まえ、当事務所では報道と関連が深い「現在、見直しや変更が検討されている入管で行う主な手続き」を中心に、4回シリーズで制度の基本を整理することにしました。本記事は、その第1回として、中長期滞在の入り口となる在留資格認定証明書交付申請（COE）を取り上げます。

働く・学ぶ・家族と生活するなど、中長期で日本に滞在する場合、次のような流れが一般的です。

1. 日本側（企業・学校・家族など）がCOEを申請する
2. 入管でCOEの審査・交付が行われる
3. 外国人本人が海外の日本大使館・領事館で査証（ビザ）申請を行う
4. 査証が発給され、日本へ渡航する
5. 日本の空港で上陸審査を受け、正式な在留資格と在留期間が決定する

在留資格認定証明書（Certificate of Eligibility：COE）は、外国人が日本で行う予定の活動が在留資格の基準に適合しているかどうかを、入国前に確認するための証明書です。
おもに次のようなポイントが審査されます。

• 活動内容が該当する在留資格の範囲に合致しているか
• 申請者の学歴や職歴などが在留資格の条件に適合しているか
• 受け入れ先（企業・学校・家族など）の体制が適切に整っているか
• 生活費や収入基盤が確保されているか
• 過去の在留状況や素行に問題がないか

今回の報道（査証発行手数料の値上げ）に関連して、誤解されやすい部分を、2025年11月末時点の情報にもとづいて整理します。

日本で行うCOE申請は無料

今後の有料化が検討されているなどの報道もありません。
基本的にCOEは、日本側（企業・学校・家族）が入管に対して行う申請で、手数料はかかりません。

COE取得後に海外で行う査証申請は現在も有料

そして、この査証手数料が“値上げ方向で検討されている”対象です。
COEが交付された後、外国人本人は在外公館で査証（ビザ）申請を行いますが、こちらは従来から手数料が必要な手続きです。
2025年11月〜12月上旬の報道が指す「大幅な手数料引き上げ案」は、この査証申請の手数料です。
つまり実務上は、

• COE（日本の入管）→ 無料、変更の予定もなし
• 査証（海外の在外公館）→ 有料、その手数料の値上げが検討されている

という状況です。

ちなみに：査証手数料は国・地域・国籍で異なります

査証手数料は、2025年11月末時点の制度では、

• 在外公館ごとに現地通貨で徴収されること
• 申請者の国籍により免除・軽減があること（相互主義）

などの理由から、実際の金額は国・地域・国籍によって異なります。また、制度改定や各国の運用変更が生じる可能性もあるため、実際の手続きでは、必ず申請先の在外公館の公式HP等で最新情報をご確認ください。
これはリスク回避の観点からも非常に重要です。

• COEは、日本に中長期滞在するための 最初の重要な手続き
• 審査では、活動内容・受入体制・生活基盤などが丁寧に確認される
• COE申請は無料で、今後の有料化が検討されている事実もない
• 査証申請は有料で、その手数料について“値上げが検討されている”と報道されている
• 査証手数料は国や地域、申請者の国籍により異なるため、実際には各在外公館の最新案内の確認が必須

 

この記事は、当事務所が今後公開する「現在、見直しや変更が検討されている入管で行う主な手続きシリーズ」全4回の第1回 にあたります。次回以降の記事では、

• 在留期間更新許可申請
• 在留資格変更許可申請
• 永住者への在留資格変更許可申請

について、2025年11月末時点の制度にもとづき分かりやすく解説していきます。