
2026年1月23日、政府(内閣府)は、外国人政策に関する新たな方針(総合的対応策)を取りまとめ、在留資格・永住・帰化を含む制度全体について、今後の方向性を公式資料として示しました。
今回示された方針は、個々の在留資格や手続きの細かな変更を示すものではなく、今後の外国人受入れや在留管理を、どのような考え方で進めていくのかという政策全体の方向性を整理したものと位置づけられます。とくに、
といった点について、今後の制度運用を読み解くうえで重要なポイントが含まれています。
なお、今回の方針は、在留資格の要件や手続きが直ちに変更されることを示すものではありませんが、今後の制度運用の方向性を把握するうえで重要な内容です。
当事務所では、今後の制度の具体化にあわせて、引き続き情報を整理してお伝えしていきます。
本記事では、この政府方針のうち、在留資格や実務との関係が想定されるポイントに絞り、現時点で読み取れる方向性を中心に整理します。
政府方針では、就労系在留資格について、在留資格の趣旨に沿った活動が行われているかどうかを、より丁寧に確認していく方向性が示されています。
具体的には、在留資格で想定されていない単純作業などの業務に従事していないかといった点も含め、就労内容と在留資格との関係を実態に即して把握していく考え方です。
これは、個々の外国人本人だけでなく、雇用内容が在留資格に適合しているか、外国人社員の就労管理が適切に行われているかといった点について、企業側の管理体制も含めて確認していく流れが続くことを意味します。
留学などの中長期在留資格についても、
といった観点から、在留管理の在り方を見直していく方向性が示されています。
たとえば、本来の活動である学業よりもアルバイトが中心となっていないかといった点を含め、在留資格の趣旨に沿った在留がなされているかどうかを丁寧に見ていく考え方と整理できます。
あわせて「租税条約の見直し」として、 外国人留学生等の給与の免税規定を有する条約の改正を働きかけ適切に見直すとも明記されている点にも注目すべきです。
在留資格「経営・管理」については、2025年10月に許可基準の厳格化が行われたところですが、今回の政府方針では、その後の運用状況を踏まえた更なる改善の検討が示されています。
具体的には、
とされています。
これは、新たな要件を直ちに追加するという趣旨ではなく、今後も厳格化された制度を前提に、経営管理ビザの実態面をより重視した運用と改善を続けていく方向性を示したものと整理できます。
永住許可については、今回の政府方針においても、審査の厳格な運用を前提とした制度の在り方の見直しが引き続き検討されています。具体的には、
といった点を踏まえ、制度全体としての一貫性を確保していく方向性が示されています。
また、帰化についても、永住許可の審査との整合性の観点から、原則として10年以上在留し、日本社会に融和していることが必要という考え方を前提に、審査の在り方を検討する方針が示されています。
今回の方針では、「日本語学習」について、性質の異なる二つの位置づけが示されています。
永住許可については、日本語や日本の制度・生活ルールを学ぶプログラムの受講を、審査で考慮する要素とすることを検討する方向性が示されています。
これは、永住許可が日本社会への長期的な定着を前提とする在留資格であることを踏まえ、許可の在り方そのものを見直していく流れの一部と位置づけられます。
一方で、永住許可とは別に、外国人が日本社会で生活していくための社会統合政策として、日本語や社会制度・生活ルールを学ぶ取組も示されています。
こちらは、
を想定した施策と考えられます。
中長期在留者に関連して、外国人の子どもに対する日本語教育支援についても、政府方針で整理されています。具体的には、
といった取組が示されています。
これらは、外国人の子どもが日本の教育環境に円滑に適応するための生活・定着支援として位置づけられます。
現時点では、
といった具体的な制度設計はまだ示されていません。
現段階では、特定の申請手続きにおいて日本語学習等が必須となったわけではない点に注意が必要です。
政府方針では、在留カードとマイナンバーカードを一体化する制度の導入が進められています。これにより、行政手続きの利便性向上やデジタル化が期待されています。
あわせて、税金、健康保険料、年金といった社会保障に関する支払い状況の情報連携が進むことで、将来的には、
などの審査において、納付状況がより正確に把握される環境が整っていく可能性があります。
今回の方針では、外国人雇用状況届出制度の運用改善についても明確に示されています。これは、企業担当者にとって特に注目すべきポイントです。具体的には、
について、都道府県労働局・ハローワークと警察等の関係機関との連携を強化する方向性が示されています。
また、出入国在留管理庁と厚生労働省の連携を強化し、在留カード等読取アプリケーションを用いた確認の実施について、より厳格に確認していくとされています。
政府方針では、入管法について所要の改正を行った上で、令和8年度(2026年度)中に在留許可手数料の見直し・引上げを実施することも示されています。
対象となる具体的な手続きや金額は現時点では明らかになっていませんが、企業・外国人双方にとってコスト面の影響が出る可能性がある点として、今後の動向に注意が必要です。
短期滞在で来日する外国人を対象に、日本版ESTA(JESTA)と呼ばれる電子渡航認証制度の導入が検討されています。
この制度は、ビザ免除国・地域からの渡航者について、入国前に一定の情報をオンラインで提出させ、事前に確認を行う仕組みを想定したものです。
現時点では、主に観光や短期商用といった短期滞在を念頭に置いた制度として整理されていますが、その背景には、
といった、出入国管理全体の在り方の見直しがあります。
そのため、JESTAは直ちに中長期在留資格の要件や審査に影響する制度と位置づけられているわけではありませんが、今後の制度運用や入国管理の考え方を理解するうえでは、無関係とは言い切れない制度と整理するのが適切です。
特定技能制度および育成就労制度については、
といった点を不断に検討していくとされています。
育成就労制度については、
など、制度基盤整備としての日本語教育支援が示されています。
政府方針では、在留資格制度とは別に、外国人が日本で生活していく各段階に応じた支援についても整理されています。
今回示された政府方針は、在留資格制度全体について、より実態を重視しつつ、生活・定着支援も含めた総合的な外国人政策へ進むという方向性を示したものと整理できます。
個別の在留資格や申請手続きへの影響は、今後の制度設計や運用ルールの公表を待つ必要があります。
なお、本記事は、2025年12月に当事務所ブログで掲載した「2026年の入管制度変更まとめ」の内容を前提に、2026年1月23日に示された政府方針を踏まえて、制度の「方向性」を整理したものです。
手数料見直しや制度改正の検討状況など、個別論点の整理については既存記事で詳しく扱っていますので、制度変更の全体像を把握したい方は、あわせてご参照ください。
当事務所では、こうした政府方針や制度動向について、正式な発表や実務への影響が明らかになり次第、内容を整理し、引き続き分かりやすくアップデートしてお伝えしていきます。
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