在留資格を切り替える手続きとは?|在留資格変更許可申請の基本と制度の現在地(2025年時点)

在留資格を切り替える手続きとは? ― 在留資格変更許可申請の基本(2025年時点)―

更新手続きとは違う「変更手続き」:報道の要点と制度の基本

レクチャーする女性

最近の報道(2025年11月上旬〜下旬)では、在留期間の更新手続きとあわせて、在留資格変更許可申請(いわゆる「変更手続き」)についても、制度の見直しが検討されていると伝えられています。
在留資格の変更手続きは、更新手続きとは異なり、日本で行う活動内容や立場そのものが変わることを前提として行われる申請です。
そのため、同じ「手数料」や「社会保険料」に関する報道であっても、変更手続きでは 審査の意味合いや影響の出方が異なる側面があります。

 

本記事は、当事務所が公開している「現在、見直しや変更が検討されている入管で行う主な手続きシリーズ」第3回として、2025年11月末時点の制度にもとづき、在留資格変更許可申請の基本を整理します。


「変更手続き」とは何か

在留資格変更許可申請(変更手続き)とは、

現在持っている在留資格から、別の在留資格へ切り替えるための申請

をいいます。
日本に住んでいる人が申請を行い、許可されることで、新しい在留資格にもとづく活動が可能になります。
代表的な例としては、

などが挙げられます。
このように、変更手続きは就職などで日本での活動内容や立場が変わる場面で行われる手続きです。

変更手続きの審査の考え方

在留資格の変更手続きでは、原則として、

新しくその在留資格を取得する場合と、ほぼ同等の審査

が行われます。

 

たとえば就労系の在留資格へ変更する場合には、

  • 学歴や職歴が在留資格の要件を満たしているか
  • 行う予定の業務内容が在留資格の範囲に適合しているか
  • 受入企業の事業内容や雇用体制が適切か

といった点が、あらためて一から確認されます。

 

一方で、変更手続きは、すでに日本国内に在留している人からの申請であるので、申請する人のこれまでの在留状況もあわせて審査の対象となります。
具体的には、

  • 過去の在留期間中に問題のある行為がなかったか
  • 資格外活動違反などがないか
  • 税金や社会保険料を適切に納付しているか
  • 在留カードに関する届出義務を守っているか

といった点です。つまり変更手続きは、

「新規取得と同等の審査」でありながら、これまでの在留実績も評価される

という、二つの性質をあわせ持つ手続きだといえます。

最近の報道で検討されている見直し案

(2025年11月末時点・事実関係の整理)
以下は、在留資格変更許可申請に関して報道されている「検討段階の案」です。
いずれも、現時点で制度として確定しているものではありません。

 

● 2025年11月4日の報道
2027年6月以降をめどに、国民健康保険料に未納がある場合、その滞納者については在留資格の変更を認めない方向で検討している、と報じられています。
変更手続きでは、新しい在留資格に切り替えることが適切かどうかが判断されるため、この点が審査とどのように結びつくかが注目されています。

 

● 2025年11月20日の報道
在留資格の変更手続きの手数料を、現在の6,000円から、2026年度中に3万〜4万円程度に引き上げる案が検討されているとされています。

 

● 2025年11月28日の報道
さらに、変更手続きの手数料について、10万円を上限とする案も選択肢として検討されていると報じられています。

現行制度(2025年11月末時点)との関係

報道内容と現行制度を混同しないため、整理しておきます。

  • 在留資格変更許可申請の手数料は、2025年11月末時点では6,000円のままです。
  • 報道されている3万〜4万円案 や 10万円案 は、いずれも 検討段階の案 であり、制度として確定していません。
  • 国民健康保険料の未納についても、現時点で「未納=変更不可」とする一律の制度が導入されているわけではありません。

今後の正式な制度改正や運用については、法令改正や入管からの公式発表を確認する必要があります。

永住申請との関係について

永住者への在留資格変更許可申請も、制度上は在留資格変更の一種に位置づけられます。
ただし、

  • 要件の内容
  • 審査期間
  • 審査の考え方

はいずれも、一般的な変更手続きとは大きく異なります。
そのため、永住申請については、本シリーズ第4回の記事で別途詳しく解説する予定です。

まとめ(2025年11月末時点)

  • 在留資格変更許可申請(変更手続き)は、在留資格そのものを切り替えるための申請
  • 審査は、新規取得とほぼ同等に行われる
  • 一方で、これまでの在留実績もあわせて評価される
  • 手数料の大幅な引き上げや、国民健康保険未納との関係は、いずれも検討段階の報道であり、制度として確定していない
  • 永住申請は、シリーズ第4回で別途解説予定

本記事は、
「現在、見直しや変更が検討されている入管で行う主な手続きシリーズ」第3回として、2025年11月末時点の制度にもとづき整理しました。

 

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