
「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格で働いている外国人が転職した場合、「今持っている在留資格のまま新しい会社で働いても大丈夫なのか」「次の在留期間更新で問題にならないか」と心配になることがあります。
また、技人国の外国人を中途採用する会社でも、本人がすでに在留資格を持っていれば、そのまま採用してよいのか迷うことがあるかもしれません。
技人国の外国人は転職することができます。ただし、技人国の在留資格を持っているからといって、転職先でどのような仕事でもできるわけではありません。
転職するときには、新しい会社で予定している仕事が技人国の在留資格に当てはまるかを確認しておくことが大切です。
この記事では、技人国の外国人が転職した場合に必要となる届出や、転職後の在留期間更新、就労資格証明書について見ていきます。
「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格で働いている外国人が、現在の会社を退職して別の会社へ転職することは可能です。
技人国の在留資格は、原則として特定の会社だけで働くことを認めるものではありません。そのため、勤務先が変わったという理由だけで、必ず在留資格変更許可申請をしなければならないわけではありません。
転職後も技人国に当てはまる活動を行う場合には、現在の在留資格のまま新しい会社で働くことができます。
ただし、ここで注意したいのは、技人国の在留資格を持っていることと、転職先で予定している仕事を技人国で行うことができるかは別の問題だということです。
たとえば、現在技人国で働いている外国人が転職し、転職先ではこれまでとは異なる仕事を担当することもあります。その仕事が技人国に当てはまらない場合には、現在の在留資格のまま働くことができない可能性があります。
そのため、転職するときには在留カードに「技術・人文知識・国際業務」と記載されていることだけで判断せず、新しい会社で実際にどのような仕事をするのかを確認することが大切です。
技術・人文知識・国際業務(技人国)の対象となる仕事や要件については、こちらで詳しく説明しています。
技人国の外国人が転職するときには、新しい会社での仕事内容だけでなく、本人の学歴や職歴との関係も確認する必要があります。
たとえば、前の会社でシステムエンジニアとしてシステムの設計や開発を行っていた外国人が、転職後も同じような業務を担当する場合には、転職前後の仕事内容に大きな違いはありません。
一方、転職を機にこれまでとは異なる職種や業務を担当する場合には、新しい仕事内容が技人国に当てはまるかだけでなく、その仕事と本人の学歴や職歴との関係も改めて確認する必要があります。
ここで注意したいのが、大学を卒業した人と専門学校を卒業した人では、専攻した内容と仕事との関連性について同じように考えることはできないという点です。
大学を卒業している場合には、大学での専攻と実際に行う仕事との関連性について比較的幅広く認められる傾向があります。
これに対して、専門学校を卒業し、「専門士」などを取得して技人国の在留資格が認められている場合には、原則として専門課程で修得した内容と実際に行う仕事との関連性がより重要になります。
そのため、前の会社では技人国で問題なく働いていた外国人であっても、転職によって仕事内容が変わる場合には注意が必要です。
特に専門学校卒業者の場合は、前職で技人国の在留資格が認められていたということだけではなく、転職先で予定している仕事が本人の専門学校で学んだ内容と関連しているかまで確認しておくことが大切です。
また、「エンジニア」「営業」「通訳」といった職種名だけで判断することもできません。実際にどのような業務を行うのかを確認したうえで、本人の学歴や職歴などと合わせて見ていく必要があります。これは外国人本人だけの問題ではありません。
技人国の外国人を中途採用する会社でも、在留カードに「技術・人文知識・国際業務」と記載されていることだけで判断せず、自社で予定している仕事内容と、その外国人の学歴や職歴との関係を採用前に確認しておくことが大切です。
技人国で働くことができる職種については、こちらで詳しく説明しています。
技人国の外国人が会社を退職したり、新しい会社へ転職したりした場合には、出入国在留管理庁へ「所属(契約)機関に関する届出」を行う必要があります。
たとえば、これまで勤務していた会社を退職して別の会社へ転職する場合には、前の会社との契約が終了したこと、新しい会社と契約を締結したことについて、それぞれ届出を行います。
届出の期限は、その事実が生じた日から14日以内です。
この届出は原則として外国人本人が行うもので、地方出入国在留管理官署の窓口や郵送のほか、出入国在留管理庁の電子届出システムを利用してオンラインで行うこともできます。
ここで注意したいのは、所属(契約)機関に関する届出は、転職先で予定している仕事が技人国に当てはまるかどうかについて、出入国在留管理庁の確認を受けるための手続きではないということです。
届出を行ったからといって、新しい会社での仕事内容について技人国で働くことが認められたという意味ではありません。
そのため、前章で説明したように、転職するときには新しい会社での仕事内容と本人の学歴や職歴との関係を確認しておく必要があります。
所属(契約)機関に関する届出については、出入国在留管理庁の案内をご確認ください。
転職後も技人国に当てはまる仕事を続ける場合には、在留期限が近づいたときに在留期間更新許可申請を行います。
ここで注意したいのが、転職後初めての在留期間更新です。
同じ会社で引き続き同じ仕事をしている場合の更新とは異なり、転職後の初回更新では、新しい会社で行っている仕事について改めて確認されることになります。
そのため、前の会社で何度も問題なく在留期間を更新していたとしても、「これまで更新できていたから、今回も同じように更新できる」とは限りません。
転職先での仕事内容が技人国に当てはまるか、本人の学歴や職歴と仕事との間に必要な関連性があるか、雇用条件や報酬が適切かなど、新しい会社で引き続き技人国の在留資格で働くことができるかを確認したうえで申請する必要があります。
また、在留期間更新許可申請で提出する書類は、転職先となる会社のカテゴリーによっても異なります。
特にカテゴリー3・4の企業等へ転職した後の初回更新では、通常の更新で提出する書類に加えて、労働条件を明示した文書、登記事項証明書、会社の事業内容を明らかにする資料など、新しい会社での活動内容や勤務先について確認するための資料が必要になります。
つまり、転職後の初回更新は、単にこれまで持っていた在留期間を延長するだけの手続きではありません。
転職先で現在行っている仕事について、技人国の在留資格で引き続き働くことができるかを確認される機会でもあります。
そのため、在留期限が近づいてから初めて確認するのではなく、転職する段階で仕事内容や学歴・職歴との関係を確認しておくことが大切です。
技人国の在留期間更新については、こちらで詳しく説明しています。
技人国の外国人が転職したものの、次の在留期間更新までまだ時間がある場合もあります。
そのような場合に、「新しい会社で行う仕事が、現在の技人国の在留資格で認められる仕事なのか確認しておきたい」というときには、就労資格証明書の交付申請を検討する方法があります。就労資格証明書は、外国人本人からの申請に基づいて、その外国人が行うことのできる就労活動について出入国在留管理庁が証明するものです。
転職した場合には、新しい会社との契約内容や実際に行う仕事などについて資料を提出し、その仕事が現在の在留資格で行うことのできる活動であるかについて証明を受けることができます。
たとえば、技人国の在留期間がまだ2年残っている外国人が転職した場合、次回の在留期間更新まで何も確認しないまま新しい会社で働き続けるのではなく、就労資格証明書を利用して転職先での仕事について確認しておくことができます。
ただし、転職した外国人が必ず就労資格証明書を取得しなければならないわけではありません。
転職前後の仕事内容、本人の学歴や職歴、次の在留期間更新までの期間などを確認したうえで、申請する必要があるかを検討することになります。
特に、転職によって仕事内容が変わる場合や、専門学校を卒業した人で新しい仕事と専攻分野との関連性を確認しておきたい場合などには、次回の在留期間更新まで待つのではなく、転職の段階で確認しておくことも選択肢の一つです。
就労資格証明書については、こちらで詳しく説明しています。
ここまで見てきたように、技人国の外国人が転職する場合には、勤務先が変わることだけではなく、新しい会社での仕事内容と本人の学歴や職歴との関係を確認することが大切です。
この確認を、次の在留期間更新まで先送りしてしまうことには注意が必要です。
たとえば、転職してからしばらく働き、在留期限が近づいて更新の準備を始めたところで、「現在行っている仕事は技人国に当てはまるのか」、「専門学校で学んだ内容と現在の仕事との関連性は認められるのか」、といった問題に気付くことがあります。
その時点では、外国人本人はすでに新しい会社で働いています。会社側も、すでに採用した外国人について、更新を前に仕事内容や学歴との関係を改めて確認しなければならなくなります。
特に、転職によって職種や仕事内容が変わる場合には、前の会社で技人国の在留資格が認められていたということだけで判断することはできません。
そのため、外国人本人が転職先を決めるとき、あるいは会社が技人国の外国人を中途採用するときには、採用して働き始める前に、予定している仕事内容と現在の在留資格との関係を確認しておくことが大切です。
必要に応じて就労資格証明書を利用し、次回の在留期間更新を待たずに確認する方法もあります。
在留資格の手続きは、在留期限が近づいてから更新申請だけを考えるのではなく、転職や採用など、働き方が変わるタイミングで確認しておくことが重要です。
行政書士浜岡事務所では、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)で働いている外国人の転職や、転職後の在留期間更新についてご相談を承っています。
転職後の在留期間更新では、新しい会社での仕事内容だけでなく、本人の学歴や職歴との関係なども確認したうえで申請を進めることが大切です。
また、すでに転職した後のご相談だけでなく、
「転職を考えているが、新しい会社の仕事を現在の在留資格で行うことができるのか確認したい」
「技人国の外国人を中途採用したいが、自社で予定している仕事で採用してよいのか確認したい」
「外国人を採用した後の在留期間更新まで含めて相談したい」
といった、転職や採用を検討している段階からのご相談にも対応しています。
在留期限が近づいてから確認するのではなく、転職や中途採用の段階で仕事内容や学歴・職歴との関係を確認しておくことで、その後の手続きを進めやすくなります。
技人国の外国人の転職や中途採用、転職後の在留期間更新についてご不明な点がございましたら、ご相談ください。
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