就労資格証明書とは、就労系ビザの外国人が他社へ転職するときに新しい会社の仕事が現在のビザで許可されるかどうかを事前に確認できる制度です。
持っているビザでは働けない仕事に転職をしてしまったらビザを更新することもできなくなってしまいます。会社側もせっかく採用した人材を断念することになります。このようなことを防止するために、就労資格証明書の制度を利用して事前の確認を行います。
就労系ビザは基本的に「外国人の経歴・学歴」と、「働く会社で担当する業務」の両方を審査して許可されています。しかしビザを持つ外国人が日本国内で転職するときにはこのような審査を受ける機会がありません。
なのでもしも転職をした場合はビザを更新する手続きのときにはじめて転職先の会社の仕事が自分のビザで許可されるのかどうかを審査されることになります。このようにビザを更新するときまで新しい会社で自分のビザが有効かどうかわからないのであれば、転職した外国人はビザが更新できるかどうか不安な状態が続きます。採用した会社にしても外国人社員がビザを更新できずに離職しなければならないリスクが発生します。
就労資格証明書の制度は下記のような活用が可能です。
採用する企業は就労資格証明書を利用すれば、下記のようなメリットがあります。
特に企業では不法就労の防止として在留カードの確認を求められますが、在留カードの記載事項だけでは具体的に許可された仕事の内容までは判断が難しいと思われます。就労資格証明書は転職先で担当する具体的な業務が許可されるかどうか個別に審査されますので、思わぬ不法就労状態が発生することを防止できます。
企業側から採用候補者の外国人の方に、就労資格証明書の提出を強制することは禁止されていますのでご注意ください。
実際のビザ更新時には、仕事内容のほかにも、外国人本人についてそれまでの在留期間中に犯罪をしていないかなど生活面での審査もされます。就労資格証明書が100%の更新を保証するものではありません。
就労資格証明書を申請する方法と、そのときに必要な書類をご案内します。
証明を希望するときに申請します。
申請から、1~3ヶ月ほどが見込まれます。
就労資格証明書交付申請書
資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている方のみ)
パスポートか在留資格証明書を提示
在留カードを提示
(転職前の会社が発行した)源泉徴収票
(転職前の会社が発行した)退職証明書
転職先の会社の資料 (下記のような資料です)
会社案内
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
直近の決算書のコピー
転職先の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計票のコピー など
転職先での地位や職務内容、待遇が分かる資料 (下記のような資料です)
雇用契約書のコピー
労働条件通知書のコピー など
申請した結果は、許可の場合は「通知」が、不許可の場合は「不許可通知」が郵送されます。
もし不許可の場合には、転職先での勤務を続けるのであれば、ビザの種類変更などの対応策を検討しなければなりません。よって証明の交付の時に不許可の理由を具体的に確認することが必要です。
結果の通知書を持って出入国在留管理局で交付の申請をします。(不許可の場合でも、不許可の証明書が交付されます。)
(交付申請で必要なもの)
就労資格証明書を利用するタイミングは、ビザの有効期間が残り6ヶ月以上あるかどうかで判断すると効率的です。
証明書の申請から審査期間が1~3ヶ月ほどかかるので、もしビザの有効期間が6ヶ月を切っているなら、就労資格証明書よりもビザの更新に集中したほうが得策といえるからです。
たとえば技術・人文知識・国際業務のビザを持つ人が転職をして、同じ職種(SEなど)などを続けている場合にビザの残存期間が6ヶ月以上あれば就労資格証明書の申請をして新しい会社でも自分のビザが有効か審査をしておけば、安心して働くことができます。また転職によって職種が法人営業部からマーケティング部に変わるようなこともよくあります。このような場合でも6ヶ月以上の残存期間があれば証明書の交付を申請しておくことが重要です。
残存期間が6ヶ月を切っていると、就労資格証明書の申請中に更新時期が来てしまって申請自体が無駄になる可能性があります。このような場合には、転職先でのビザ更新手続きに集中される方が効率的です。
職種が同じでも、ビザの種類そのものを変更しなければならない転職では、この就労資格証明書は使用できません。
例としては、民間の語学教室で英会話を教えていた方が、公立の中学校などで英語の先生となるよう場合です。「英語を教える」という職種は同じですが、民間の語学教室勤務のビザは技術・人文知識・国際業務となり、公立の学校に勤務するのは教育ビザとなります。ビザの変更は「在留資格変更許可申請」といいます。