経営・管理ビザ (Business Manager) の更新

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経営管理ビザの更新手続きでは他の就労系ビザの更新では求められない重要な審査のポイントがあります。
それは更新を申請する個人についての審査だけではなく、経営しているビジネスについて「事業の継続性」と「事業者としての義務が履行されているか」も詳しく審査されることです。

 

経営・管理ビザの更新手続き 審査のおもなポイント
申請者個人 申請者個人の納税や各種の届出が適正に行われているか
事業の継続性 ビジネスが安定した収益を出して、今後も継続して続けていけるかどうか
義務の履行 会社としての適正な納税、従業員の労働環境や社会保険の加入状況など

このページでは、この審査ポイントについて具体的に解説することと、更新の際に必要な書類や、そして経営管理ビザで3年や5年の在留期間が認定されるためのアドバイスなどもお伝えしています。
経営管理ビザの更新手続きで心配なことやご相談があれば、お気軽に当事務所へご連絡ください。

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ビザ / 在留資格 行政書士浜岡事務所

 

経営管理ビザの新規申請手続きは「経営・管理ビザ」のページで、新しく会社を作って経営管理ビザを申請する場合は「経営・管理ビザ 会社を作って申請する方法」のページで、合同会社の場合は「経営・管理ビザ 合同会社を設立して申請する方法」のページで、より詳しくお伝えしています。

 


審査で使用する会計用語について

経営・管理ビザの更新で審査されるポイントの1つが、”事業の継続性”です。ビジネスの収益状況と資本状況について、損益計算書(Profit&Loss "PL")と貸借対照表(Balance sheet "BS")から、継続性が確認されます。

 

更新審査で使用する会計用語

  • 売上総利益(Gross Profit) : 売上(Sales)-売上原価(Cost of Sales)
  • 剰余金(Surplus+Retained Earnings): 法定準備金(Legal reserve of retained earnings)を含むすべての資本剰余金(Capital surplus)と利益剰余金(Retained earnings)
  • 欠損金(Retained Loss): 期末未処理損失(Undisposed Defict)、繰越損失(Loss Forwaded)
  • 債務超過(Solvency): 負債(Liabilities)の額が、資産(Assets)を上回った状態

剰余金と欠損金とは、大雑把な表現ですが、ビジネスの収益によって会社の資本が増えれば、”剰余金”となり、ビジネスの損失によって資本が減少してしまうと”欠損金”となります。剰余金と欠損金は、貸借対照表(BS)の純資産の部(Net assets)に、剰余金は”利益剰余金”のプラスで表示でされ、欠損金は”繰越利益剰余金”のマイナスで表示されます。

債務超過とは、会社の負債が資産よりも多くなっていて、すべての会社資産を手放したとしても負債を全額返済できない状況です。会社が倒産する可能性が高い状態ともいえます。
直近期と直近期前期とは、会社の会計期間(12ヶ月)でビザ申請の時に最も近い確定している決算が直近期、その決算(直近期)の1年前の決算が直近期前期となります。たとえば会社の決算期が3月31日で、ビザの申請がその年の7月だったとすると直近期はその3月31日の決算、直近期前期は1年前の3月31日の決算です。

 

では次にビジネスの状況がどのように更新の申請で審査されるのかを解説します。

事業の継続性 審査のポイント

ビジネスの状況について、会社の損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)から下記のように判断されます。

  • 継続性あり : ビジネスが順調で経営・管理ビザの更新に障害はない状態です。
  • 条件付きで継続性あり : ビジネスは順調ではないが、一定の条件をクリアすれば経営・管理ビザの更新が可能になる状態です。
  • 継続性なし : ビジネスとして成り立っていないため、経営・管理ビザの更新は厳しい状態です。

 

「継続性あり」と判断される経営状態

売上総利益が、直近期または直近期前期で、プラスであることが前提になります。

ケース1:黒字決算(利益が出ている状態)
書類 損益計算書(PL) 貸借対照表(BS)
項目 当期純利益 余剰金 欠損金
状態 黒字 増加

 

ケース2:赤字決算だが、剰余金が前期から減少しただけで、欠損金が0の状態
書類 損益計算書(PL) 貸借対照表(BS)
項目 当期純利益 余剰金 欠損金
状態 赤字 前期から減少

黒字決算でも赤字決算でも、欠損金が「0」で、剰余金がプラスまたは「0」の場合は、「継続性あり」となります。

 

「条件付きで継続性あり」と判断される状態

売上総利益が直近期または直近期前期で、プラスであることが前提です。

ケース3:直近期末で欠損金があるが、債務超過になっていない場合
書類 損益計算書(PL) 貸借対照表(BS)
項目 当期純利益 余剰金 欠損金 債務超過
状態 赤字 発生 NO

この場合は、今後1年間のビジネスについて事業計画書、予想の収益を示した資料を提出し、その内容を確認を受けたうえで、事業の継続性が認められます。

 

ケース4:直近期末で欠損金があり債務超過になっているが、直近期前期末では債務超過でなかった場合
書類 損益計算書(PL) 貸借対照表(BS)
項目 当期純利益 余剰金 欠損金 直近期末債務超過 前期末債務超過
状態 赤字 発生 YES NO

この場合は、中小企業診断士や公認会計士が作成する、ビジネスの改善の見通し(1年以内に債務超過でなくなる見通しも含む)について評価を行った書面(評価の根拠理由が記載されているもの)を提出して、事業の継続性が認められる可能性があります。

 

「継続性なし」と判断される状態
ケース5:2期連続で債務超過が続いた場合
書類 貸借対照表(BS)
項目 直近期末債務超過 前期末債務超過
状態 YES YES

この場合は、売上総利益がプラスでも、「継続性なし」と判断されます。債務超過となった場合は、必ず1年以内に解消するようにしてください。

 

ケース6:2期連続で売上総利益がない場合
書類 損益計算書(PL)
項目 直近期末売上総利益 前期末売上総利益
状態 マイナス マイナス

2期連続で売上総利益がマイナスとなる場合は、たとえ本業のビジネス以外に会社名義の土地を売却するなどで、営業外損益または特別損益で損益計算書(PL)を黒字にしても、「継続性なし」と判断されます。

 

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事業者の義務の履行について

事業者の義務の履行とは、大きく3つの項目に分かれます。

  1. 納税に関すること
  2. 労働関係法令を守っていること
  3. 社会保険に適切に加入していること
1 : 納税に関すること

ビジネスを通じて、国税(所得税、法人税等)や地方税(住民税等)を適切に支払っているかどうか審査されます。

脱税などで刑を受けた場合は当然として、高額の未納や長期の未納状態が判明するなど、納税義務を履行していない場合には、ビザの更新について消極的な審査の要素となります。またもし重加算税賦課決定処分(消費税の不正受還付など)を受けているような場合は、悪質性から特に消極的な審査要素になってしまいます。

 

2 : 労働関係法令を守っていること

社員を雇用する場合、正社員でもアルバイトでも、従業員の労働条件が、労働基準法などの労働関係法令に適合していることが必要です。そして従業員を雇用している場合は、労働保険に加入し、保険料を適切に納付していることも審査されます。

労働保険とは、労災保険と雇用保険の2種類の保険のことです。

正社員以外のパート・アルバイトでも、従業員を雇用する場合は労災保険に加入義務が発生します。また雇用保険も同様に、正社員雇用以外でも加入義務が発生する場合がありますのでご注意ください。

 

経営しているビジネスで、同じ国の出身者など外国人従業員を雇用されることも多いですが、外国人従業員を雇用した場合や離職した場合には、ハローワークへ届け出ることも忘れず行ってください。この届出も事業者の義務となっています。

 

3 : 社会保険に適切に加入していること

経営するビジネスが法人(株式会社や合同会社など)形態であるなら、社長1人の会社であっても、社会保険(健康保険と厚生年金保険)へ必ず加入し、保険料を支払う必要があります。ただし個人事業所(法人ではないビジネス)で、美容・飲食などのサービス業、士業などは強制加入の対象外です。また加入する場合は、雇用した従業員の社会保険資格取得手続きをしていることも審査されます。

申請に必要な書類について

経営・管理ビザの更新申請で提出する書類をご案内します。なお下記の書類は、法務省のHPで案内されている書類(カテゴリー3向け)に、実際の申請でほぼ必要になる他の書類を加えたものです。ただし個別の事情で、さらに追加書類を提出しなければならない場合がありますので、ご注意ください。

 

(申請の際に、パスポートと在留カードを提示します。)

  • 1 在留資格更新許可申請書
  • 2 写真(たて4cm よこ3cm 撮影3か月以内)
  • 3 直近期末の決算書の写し(個人事業の場合は、確定申告書の写し)
  • 4 (個人の)住民税の課税証明書及び納税証明書

4は、1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、どちらか一つ

  • 5 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  • 6 (法人の)納税証明書(法人税など)
  • 7 会社名義の銀行口座通帳の写し
  • 8 更新申請理由書(書式は自由ですが、ビジネスの経緯や今後の事業の展望などを説明できるもの)
  • 9 (ビジネスに必要な許認可を新しく受けた場合は)許可証の写し など

3年や5年の在留期間が認められるためには

経営・管理ビザの在留期間は、相当の大企業やブランドネームが広く認知された企業の経営者などを除き、慣例では、初回の申請では1年間の在留期間が許可されます。1年後の更新でも、ほとんどの場合はもう一度1年間の許可になります。
つまり、最初の2年間はビジネスや会社が収益を出して安定的に運営されるようになっているかどうかを観察されている状態と言えます。そして安定的に運営していると判断された場合に初めて、3年または5年の在留期間が認められることになります。

 

そのためには、上記の”事業の継続性”でケース3から6にならないよう売り上げと利益を安定的に確保することと、”事業者の義務の履行”が重要ですが、その他にも下記のような注意点があります。

 

会社やビジネスについて、役所へのアップデートを怠らない

役所は入管以外にも法務局やハローワーク、ビジネスに必要な許認可を管轄する各種の役所のことを意味します。たとえば会社の組織や住所、役員に変更があった場合には法務局での変更登記が適切にされているか、許認可を得ている場合には適切に許認可が更新されているか、などビジネスで必要な届出や申請を適切に行っていることを更新申請の際にアピールできることも重要です。

 

従業員の雇用や設備投資をアピールできる

売上や利益が安定的している実績があっても、すぐに撤退できるような1人だけの事業やほとんど設備投資がかからないようなビジネスに比べて、複数名の従業員を安定的に雇用している、店舗拡大などの設備投資を行っているビジネスのほうが当然ながら評価が高まります。社員を雇用した実績や設備投資の実績があるのなら、積極的に更新時の追加資料として提出すべきです。

 

中長期の事業計画を策定している

ビジネスの今後について、成長戦略を3か年や5か年の中長期計画としてまとめ、そのために必要な投資、人材採用、宣伝広告、などの売上と費用、資金の調達について検討してある資料があれば、ぜひ更新の際に提出することをお勧めします。

 

あからさまな黒字を作らない

PLを黒字にすることは重要ですが、自分の役員報酬を極端に下げることによって費用を下げ利益を上げる方法や、本業のビジネスは赤字だけれど会社の資産を切り売りして本業以外の利益で黒字にする方法では、入管からの評価は得られません。明確な指標などはないのですが、経営者への役員報酬が新卒社員の報酬よりも下回るような運営は避けてください。

 

経営・管理ビザで3年や5年の在留期間が認められるためには、以上のような項目に留意していただくようお願いいたします。
しかし実際は大切な資金で投資を行ってビジネスを始めて1年しかビザの期間が認められない状態では、つい目先のことに集中してしまって上記のようなことにまで手が回らない、という方も多いと思います。行政書士浜岡事務所では、その時のビザ申請手続きだけではなく、今後のことやビジネスのことでもご相談をいただいております。ぜひお気軽にご連絡ください。

 

経営・管理ビザの在留期間更新手続きは、現在の在留期間が終了する3か月前から行うことができます。しかし申請から新しい在留期間が許可されるまでの審査の時間が2か月以上かかってしまうことも多くあります。当事務所では手続き中のストレスを解消するためにもなるべく早めの申請手続きをお薦めしています。

 

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お問合せ方法

経営・管理ビザの更新に関するお問い合わせは、お電話、メールでお気軽にご連絡ください。

 

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もしも下記のようなことをお教えいただけると、より具体的にお答えすることができます。もちろん、全部をご記入いただかなくてもOKです。
法人ご担当者様(人事部など)からのお問合せの場合
  • 御社名、ご担当者名
  • 御社の業種内容
  • ビザを申請する社員の担当業務
  • 手続きを希望されるスケジュール
  • 手続き対象となる社員の簡単な経歴
  • その他、特に気になっていること
個人の方からのお問合せの場合
  • お名前(ニックネームでも構いません)
  • 現在の職業とビザ(在留資格)、有効期限
  • 手続きを希望されるスケジュール
  • 簡単な経歴(学歴など)
  • その他、特に気になっていること

行政書士浜岡事務所では、会社設立や経営・管理ビザの更新に関するお問合せやご質問を無料で受け付けています。手続きに関する疑問や、心配なこと、手続きに必要な時間など、気になっていることがあればお気軽にご相談ください。

 

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