外国籍の友人や同僚と話していると、「ビザを更新しなきゃ」とか「今度ビザを変えるんだ」といった話を聞くことがあるかもしれません。
あるいは、ニュースで「ビザなしで働いていた外国人が逮捕された」といった話題を見たことがある方も多いでしょう。
でも実は、そうした日常会話に出てくる「ビザ」という言葉、ほとんどの場合は「在留資格」のことを指しています。
ふだんの会話の中では「ビザ=在留資格」として問題になることはあまりありませんが、いざ入管での手続きとなると、この違いをきちんと理解していないと、大きなトラブルにつながることもあります。たとえば、採用した外国人が働けなかったり、本人が予定より早く帰国せざるをえなくなったりすることも…。
このページでは、誤解されやすい「ビザ」と「在留資格」の違いを、できるだけわかりやすく解説しながら、手続きのポイントもあわせてご紹介していきます。
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「在留資格」とは、外国籍の方が日本でどんな目的で滞在するのかによって、それぞれに認められる滞在のための許可のことです。この在留資格がないと、たとえ観光での来日も、ましてや日本で住んだり働いたりすることはできません。
どうして自由に住めないの?
「行きたい国に、自由に行って住めたらいいのに」と思ったことはありませんか?
でも実際は、どの国でも外国人がその国に住むには、その国からのきちんとした許可が必要です。たとえば、日本人がアメリカに住むにはアメリカからの許可が必要ですし、アメリカ人が日本で暮らすにも、日本の在留資格を取得しなければなりません。
もしもこのようなルールがなかったら、世界中から人が自由に出入りして、働いたりサービスを受けたりする中で、社会の仕組みが混乱してしまうかもしれません。まるで、日本の交通ルールを知らない車が日本の道路を走るようなもので、誰がどこにいて何をしているのか、わからなくなってしまいます。
そこで「在留資格」という制度が生まれました
各国では、外国籍の人が「どんな人が、どんな目的で、その国にどれくらい滞在するのか」を管理するためのルールを設けています。
日本でも、このルールが「在留資格」という形で運用されています。これは、日本で生活する外国人の目的や立場を明確にするための制度です。
在留資格がないとどうなるの?
日本に住んでいる外国籍の方は、基本的にこの29種類のどれかの在留資格を持っています。
しかし、もしどの在留資格にも当てはまらない場合、原則として日本に滞在することは認められません。そのため、正しく自分の目的に合った在留資格を取得することがとても重要になります。
日本の在留資格の種類
日本では、在留資格は大きく分けて4つの分野に分かれており(2024年4月時点で29種類)、滞在の目的に応じて使い分けられています。
たとえば、「働くため」「勉強するため」「家族と暮らすため」「文化活動を行うため」など、日本での活動内容ごとに適した在留資格が定められています。
いわゆる「専門的・技術的分野の在留資格」と呼ばれるもので、日本で仕事をすることを目的として発行される在留資格です。
代表的なものには、「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」などがあり、全部で19種類が用意されています。
それぞれの在留資格ごとに認められている仕事内容が決まっており、その範囲内で働くことができます。
「ビザ」は、日本語では「査証(さしょう)」と呼ばれます。英語の「VISA」がそのまま使われているため、日本でも一般的に「ビザ」と呼ばれることが多いです。
ビザの役割
ビザ(査証)は、日本に来たい外国籍の方について、「この人は入国しても問題ありません」と、日本の入国審査官に対して伝える推薦状のようなものです。
つまり、ビザは「日本に入るときに使う書類」であり、入国した後の滞在中に使うものではありません。入国時に見せるための書類、という位置づけです。
ビザはどこで取得するの?
ビザは、通常は日本国外にある日本大使館や領事館などの窓口で申請・発行されます。
発行されたビザは、パスポートに貼り付ける形で交付されます。
ビザと在留資格の関係
たとえば観光のような短期間の滞在を除いて、日本に中長期で住む場合には、以下のような手続きが必要になります:
日本国内の出入国在留管理庁に申請し、「この人は長期間の滞在にふさわしい」と認めてもらう必要があります。
その認定証明書を使って、海外の日本大使館や領事館でビザを発行してもらいます。
このように、ビザと在留資格は別々のものですが、両方そろうことで初めて日本に中長期で滞在できるようになります。
日本政府は、一定の国や地域の人々に対して、観光・親族訪問・商用などの短期滞在を目的とする場合には、ビザを取得しなくても日本に入国できる仕組みを設けています。これが「査証免除」制度です。
ただし、滞在できる期間は国ごとに決められており、働くことは一切できません。
なお、日本人が海外旅行をする際にも、多くの国でこの「ビザ免除」制度が適用されています。
「ビザ」と「在留資格」の役割の違いを説明しましたが、ここでは実際の手続きでどのように使い分けをしているのかを解説します。
外国人が日本に長期滞在したい目的や理由が在留資格の条件と合致していることを確認した上で申請を行います。
手続きは日本国内の入国管理局で行い、行政書士や弁護士、または代理人を通じて手続きを進めることが一般的です。
申請した在留資格が認定されると、「在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility、略称COE)」が入管から発行されます。
この証明書は日本で申請した人(行政書士や代理人)に送られ、そこから申請者本人に郵送されます。また電子申請の場合はメールで発行されます。
COEを受け取った申請者が、COEを持参して各国の日本大使館や領事館でビザ(査証)を申請します。
ビザが発行されたら、ビザが貼られたパスポート、そしてCOEを持参して日本に入国します。入国時にこれらの書類を提示します。
日本に3か月以上滞在する場合は、在留資格に基づいて「在留カード」が発行されます。
このカードは、日本国内で重要な身分証明書として使用され、場合によってはパスポートの代わりにもなります。
これらの手続きを踏まえ、「ビザ」と「在留資格」の関係性や役割を表にまとめてご説明します。
査証(ビザ) / 在留資格 | おもな手続き |
---|---|
査証(ビザ) | 在外公館での査証(ビザ)発給申請 |
在留資格 | 在留資格認定証明書交付申請(日本への来日) |
在留期間更新許可申請(有効期間の更新) | |
在留資格変更許可申請(在留資格の種類の変更) | |
永住許可申請 | |
再入国許可申請 | |
資格外活動許可申請(アルバイトなど) | |
就労資格証明書交付申請 |
このように、ほとんどの手続きが「在留資格」に関するものです。「ビザが取れた」とか「ビザの期限が近付いたから更新する」とよく言われますが、実際には「ビザ」ではなく、「在留資格が認定された」「在留資格の期限が更新された」と言っていることになります。
当事務所はこの「在留資格の手続き」を専門に取り扱う申請取次行政書士事務所です。在留資格についてご相談やご質問があればお気軽にお問い合わせください。
ここまで、「ビザ(査証)」と「在留資格」がどう違うのかを解説してきました。
最後に、もっとわかりやすくイメージできるように、テーマパークの例で整理してみましょう。
ビザは入場券 在留資格はアトラクションのチケット
ビザは、日本というテーマパークに入るための「入場券」と考えてください。一方で、在留資格はそのテーマパーク内で特定のアトラクション(例えば、働く、留学するなど)に「参加できるチケット」のようなものです。
観光客と在留資格を持つ人の違い
ビザだけを持っている観光客は、日本というテーマパークに入場して、景色を楽しんだり、レストランで食事をしたり、お土産を買ったりすることができます。でも、「住む」「働く」「学校に通う」といったアトラクションには参加できません。
一方で、在留資格を持つ人は、その資格に応じたアトラクションに参加することができます。
在留資格の種類とアトラクション
在留資格は約29種類あり、それぞれ参加できるアトラクションが決まっています。たとえば、「永住者」というチケットを持つ人はほとんどすべてのアトラクションに参加できますが、「留学」のチケットを持つ人は、指定された学校で学ぶアトラクションにしか参加できません。
このように、ビザと在留資格は使い方が違う別の種類のものなのです。
日本で生活するには、自分の目的に合った「在留資格」を選び、それをしっかり申請することが大切です。在留資格は全部で29種類あり、それぞれに条件が違います。
また、手続きでは多くの書類が必要で、「準備が大変だな」と感じる人も少なくありません。
「難しそうだから」「面倒くさいから」と手続きを諦めてしまうのは、とてももったいないことです。そんなときは、ビザや在留資格の手続きに詳しい行政書士事務所を頼るのがおすすめです。
私たち浜岡事務所は、在留資格に特化した専門の行政書士事務所です。
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