在留資格とビザの違い
日本で暮らす外国人の人達には、日本で暮らしている間は有効な「ビザ」が許可されている必要があります。
この「ビザ」という言葉は「ビザの手続き」や「ビザの種類」といったように使われていますが、実際にはまったく役割の異なる「在留資格」と「ビザ(査証)」という2つの意味が混在しています。
もちろん普段の生活では使い分けなくても構わないのですが、実際の手続きでは「ビザと在留資格の違い」を理解しておかないと、やり直しや、ひどいときには不許可など望まぬ結果になってしまう可能性もあります。
このページではこの2つが実際にどのような手続きで必要になったりするのか、もう少し詳しくお伝えいたします。これからビザ・在留資格の手続きをする人や、外国人社員の在留資格管理の参考になれば幸いです。
在留資格とは「外国人が日本で暮らす目的や理由に応じて許可される法的な地位」のことです。外国人が日本に滞在するために、一人一人に在留資格の種類と有効期間が定めらて、法務大臣(実際には出入国在留管理庁)から発行されます。
もしも外国人が在留資格を持たずに、または有効期限が過ぎても更新や変更などの手続きをしないで、日本国内に居続けている状態がいわゆる「不法滞在」と呼ばれるもので、オーバーステイなどがその代表例です。
2023年3月現在の在留資格は29種類があり、下記のように分類することができます。
「専門的・技術的分野の在留資格」とも言われ、おもには日本国内での就労活動に対して発行されます。
「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」などが代表的で19の種類があります。
「特定活動」という在留資格です。法務大臣があらかじめ活動内容を告示しているものと告示されていないものに分かれます。在留資格そのものは法律で内容が定められていますが「特定活動」の内容は法務大臣が指定できるので、フレキシブルな対応が求められるような場合にも活用されています。
最近ですとウクライナからの避難民の方に対して就労可能な「特定活動(1年)」が発行されています。
なお就労については、「特定活動として指定された活動の内容で可否が分かれる」ことになります。
ビザ(査証)とは日本大使館などの在外公館が発行するもので、現地の日本大使館などが日本への入国を希望している外国人について「この人が日本に入国することに対して差支えがない」と推薦するものです。
つまりビザ(査証)とは、空港などで「日本へ入国する上陸審査で使用する、日本の大使館から上陸審査の審査官への推薦状のような役割」を果たします。
ちなみに「査証(さしょう)」の英語名がVISAであり、日本でもそのまま「ビザ」という名称で呼ばれることの方が多いといえます。またビザ(査証)は、その人のパスポートのページに貼り付ける形で発行されます。
日本政府が指定する国や地域の人達に対して、日本への渡航目的が観光、保養、スポーツ、親族の訪問など「短期滞在」の場合は査証(ビザ)取得をすることなく入国を認める措置です。
指定される国や地域ごとに滞在できる日数などが定められ、就業したり報酬を受けるような業務を行うことはできません。
「ビザ(査証)」と「在留資格」は、日常生活での意味はほとんど一緒でも法律で定められた内容はまったく違うものです。
そして手続きの場面でも当然ながら役割が大きく異なります。この役割を「ビザの手続き」と言われていることをビザと在留資格の違いでまとめてみます。
査証(ビザ) / 在留資格 | おもな手続き |
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査証(ビザ) | 在外公館での査証(ビザ)発給申請 |
在留資格 | 在留資格認定証明書交付申請(日本への来日) |
在留期間更新許可申請(有効期間の更新) | |
在留資格変更許可申請(在留資格の種類の変更) | |
永住許可申請 | |
再入国許可申請 | |
資格外活動許可申請(アルバイトなど) | |
就労資格証明書交付申請 |
ほとんどの手続きが「在留資格」に関するものです。「ビザが取れた」とか「ビザの期限が近付いたから更新する」とよく言われますが、実際には「ビザ」のことではなく「在留資格」のことで、「在留資格が認定された」「在留資格の期限が更新された」と言っていることになります。
当事務所はこの「在留資格の手続き」を専門に取り扱う申請取次行政書士事務所です。在留資格についてご相談やご質問があればお気軽にお問い合わせください。