仮放免とは、退去強制の手続きで施設に収容されている人を、人道上の理由や病気の治療などのために、一時的に収容を解く制度です。(入管法第54条)
なお、2024年6月10日施行の改正入管法であらたに「監理措置制度」が創設されました。このため仮放免の適用は、収容を解く手段の基本は監理措置であって、しかしそのうえでも監理措置ではなく収容を一時的に解除することが相当と認められるほどに健康上、人道上などの理由が認められる場合とする方針となりました。
ここでは仮放免の手続きや必要書類、注意点についてご案内いたします。
初回のご相談は無料です!
お気軽にお問い合わせください。
仮放免の対象者となる人は、基本的に下記のいずれかの理由で収容されていて、「仮放免を行うことに合理的な理由、または人道的な配慮など特段の事情がある」人です。
入国警備官の違反調査で「容疑あり」とされ、入国者収容所や地方入管局の収容場に収容されている人です。退去強制の手続きが進行中の人が該当し、最大60日の収容期間が設定されています。この場合の仮放免は通称で「収令仮放免」といいます。
退去強制の手続きが終了して、送還の日まで入国者収容所や地方入管局の収容場に収容されている人です。この場合の仮放免は通称で「退令仮放免」といいます。
初回のご相談は無料です!
お気軽にお問い合わせください。
仮放免は、具体的には仮放免の請求があった場合に主任審査官などが下記の事項を勘案して許可をすることができる、と定められています。
なお下記の被収容者とは「収容されている外国人本人」のことです。
1 被収容者の容疑事実又は退去強制事由
2 被収容者の性格、年齢、資産、素行及び健康状態
3 被収容者の家族状況
4 被収容者の収容期間及び収容中の行状
5 仮放免請求の理由及びその証拠
6 出入国在留管理関係の処分等に関する行政訴訟が係属しているときは、その状況
7 難民認定申請中のときは、その状況
8 出身国・地域の政府又は大使館・領事館等との間の送還手続に係る調整の状況
9 有効な旅券を所持していないときは、その正当な理由の有無
10 身元保証人となるべき者の年齢、職業、収入、資産、素行、被収容者との関係及び引受け熱意
11 逃亡し、又は仮放免に付す条件に違反するおそれの有無
12 日本国の利益又は公安に及ぼす影響
13 人身取引等の被害の有無
14 その他特別の事情
ただし下記の①~⑧に該当する人は、収容に耐え難い傷病者でない限り、原則として送還が可能となるまで収容を継続し送還に努めるとされ、特に①から④に該当する人については、「重度の傷病などのよほどの事情がない限り収容を継続する」とされています。
① 殺人、強盗、人身取引加害、わいせつ、薬物事犯等、社会に不安を与えるような反社会的で重大な罪により罰せられた者
② 犯罪の常習性が認められる者や再犯のおそれが払拭できない者
③ 社会生活適応困難者
④ 出入国管理行政の根幹を揺るがす偽装滞在・不法入国等の関与者で悪質と認められる者
⑤ 仮放免中の条件違反により、同許可を取り消し再収容された者
⑥ 難民認定制度の悪質な濫用事案として在留が認められなかった者
⑦ 退去強制令書の発付を受けているにもかかわらず、明らかに難民とは認められない理由で難民認定申請を繰り返す者
⑧ 仮放免の条件違反のおそれ又は仮放免事由の消滅により、仮放免許可期間が延長不許可となり再収容された者
仮放免の許可を申請する手続きについて、解説してゆきます。
入国者収容所に収容されている場合:その入国者収容所の所長あて
地方出入国在留管理官署の収容場に収容されている場合:収容されている地方出入国在留管理官署の主任審査官あて
日本人または日本に住む被収容者の家族が身元保証人となります。保証人となる人には、「身元保証書」「職業、収入、資産が分かる書類」「被収容者との関係が分かる書類」を提出することが求められます。
仮放免を請求する人が本人以外の場合に追加する書類
仮放免の申請があった場合、提出された書類により、これまで説明してきた事項など仮放免が適当かどうかが検討されることになります。
その検討の結果として、不許可の場合と許可の場合に大別されます。
不許可通知書が仮放免の申請者に対して交付されます。不許可通知書には教示書が添付されることになっていますが、不服申し立てはできないことになっています。
仮放免許可書が作成され、仮放免される人に交付されます。
仮放免が許可される場合には下記の事項が指定され、仮放免許可書に記載されます。
仮放免の期間は、下記の規定にって定められています。
病気治療等のため長期間の仮放免が必要な場合は3ヶ月以内の期間を定められます。
出頭義務による出頭によって仮放免を継続する必要性の有無が検討されます。
仮放免中は、住所と行動範囲が指定されます。
許可なく旅行や引越しをすることができません。もしも指定された行動範囲外に出る必要がある場合、または引越しをする場合には下記の手続きが必要になります。
仮放免が許可された人は、仮放免許可書を常に携帯することになります。もしも入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国や地方公共団体の職員が、その職務の執行のために、仮放免許可書の提示を求めたときは、拒否することなく提示しなければなりません(入管法第23条)。
指定住居変更許可申請を行います。
指定された住居地を変更する必要が生じたときは、身元保証人と連名による申請書のほかに、住所変更の必要性を説明できる資料を用意して、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口に提出します。
事前に、指定された住居を管轄する地方出入国在留管理官署の主任審査官に対し、行動範囲拡大の許可の申請を行ってください。
なお身元保証人と連名による行動範囲拡大の許可申請書のほかに、行動範囲を拡大する目的、必要性、期間等を明らかにした資料を用意して、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口に提出します。
「行動範囲外に出るとき」ですので、「旅行」でイメージされるような行動範囲から遠いとか近いとかの基準ではありません。たとえ1㎞でも指定された行動範囲から出る場合に行う手続きです。
仮放免は、仮放免を許可された人が以下の事項に該当する場合に取り消されます。
仮放免が取り消されると、当然ですが再び所定の施設に収容されることになります。
初回のご相談は無料です!
お気軽にお問い合わせください。