留学ビザは日本の大学や専門学校などの学校で学ぶための在留資格です。留学の対象になる学校は基本的に小学校から大学院で、日本語学校や専門学校も含みます。
留学ビザの在留期間は、「4年3か月以内で法務大臣が個々に指定する期間」です。
日本語学校、専門学校、短期大学、大学などへ留学するビザの手続きから、更新をするとき、さらに留学ビザでアルバイトをするときの注意点、そして学校を卒業した後に就職活動をする間に利用できるビザまで、日本で学ぶ留学生や採用をお考えの会社担当者様に役立つ情報をお伝えします。
日本にはいろいろな名前や種類の学校があります。しかし留学ビザの対象になる学校と対象にならない学校があります。ここでは留学ビザの対象になる学校の種類と、その学校に入学するために必要な学歴などの条件を解説します。
日本語や日本文化に関する教育を受けることができる学校です。おもに日本語学校と私立大学の留学生別科の2種類があります。ただし日本での就職に必要となる学位は取得できません。日本で就職を希望する場合は卒業後に専門学校や大学への進学を目指すことになります。
日本語学校には様々な種類がありますが、留学生ビザが許可されるのはその中でも、日本の法務省で告示されている日本語学校が対象になります。
私立の大学・短期大学が設ける正規の教育課程です。大学や大学院、短期大学に入学する前に日本語や日本文化に関する教育を受けることができます。
インド、ネパール、バングラデシュ、マレーシア、モンゴル等において10年または11年の初等・中等教育を修了した人は、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。もし入学資格があるかどうか不明な場合は、志望校へ問い合わてください。
卒業すると専門士(Diploma)、高度専門士(Advanced diploma)の称号が取得できます。専門学校では、ビジネス実務、福祉、医療、工業、文化、ファッション等の各分野での実践的な職業教育や専門的な技術教育が行われます。
日本の専門学校には「公的機関から認可を受けた学校」と「無認可の学校」があります。専門士や高度専門士の称号が得られるのは認可された学校を卒業した場合です。卒業後に日本で就職を考えている場合は、専門士または高度専門士の称号が必要になりますので、認可された学校を選ぶ方が賢明です。
卒業後に日本で就職する場合は、技術・人文知識・国際業務ビザの申請をすることが一般的です。その申請では仕事の内容と専門学校で学んだ分野に関連性があることがビザの審査で重要なポイントになります。
たとえば簿記や会計の学科を修了した人は経理や財務、工業や機械系の場合にはエンジニアなど、学ぶ分野の専門性と将来希望する職種の関連性も専門学校を選ぶ基準にしてください。
「メイク」「ネイリスト」「トリマー」といった分野の専門学校を卒業しても、そのまま現場で働くことはできません。
日本では学歴だけでこのような仕事に就くことができるビザが用意されていません。しかしスーパーバイザーやマネージャーなどの管理職として美容院などを運営する会社で働くことは可能です。
専門学校によっては、入管で専門性が低いと評価されるコースがあります。
国際ビジネス学科、日本語学科などの専門士の資格では、勉強した内容と予定する職務内容に入管で関連性が認めてもらえず就労ビザが不許可となりやすい傾向にあります。特に単位の半分以上が日本語やビジネスマナーなどのクラスでは専門性の認定は厳しくなります。
A、B、Cで12年未満の課程の場合は、さらに指定された準備教育課程または研修施設の課程等を修了する必要があります。
大学を卒業すると学士(Bachelor)、短大の場合は短期大学士(Associate degree)の学位が与えられます。日本での就職の選択肢も大きく、技術・人文知識・国際業務ビザや特定活動46号ビザ、状況によっては高度専門職ビザの取得も検討できます。
専攻分野と予定する職種にある程度の関連性が求められますが、専門学校卒業の「専門士」ほど厳密に関連性は求められません。
なおA、B、Cで2年未満の課程の場合は、さらに指定された準備教育課程または研修施設の課程等を修了する必要があります。
留学ビザの申請に必要な書類と申請手続きのながれをご紹介します。留学ビザでは「共通して必要な書類」と「学校からの書類」が必要です。
この手続きは正確には「留学ビザ」ではなく、「在留資格:留学」の在留資格認定証明書交付申請手続きという名前です。この手続きで許可されると「在留資格認定証明書」(COE = CERTIFICATE OF ELIGIBILTY)が発行されます。
1 在留資格認定証明書交付申請書
2 写真(たて4㎝×よこ3㎝)1枚
※写真は申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。
3 経費支弁書
4 入学する学校によって異なる書類
4の書類は入学する「学校の種類」によって分けられ、さらにその種類の中で「在籍管理優良校」「適正校」「該当しない学校」によって異なります。詳しくは当事務所へお問い合わせ下さい。
発行された在留資格認定証明書(COE)が本人に到着した後に、最寄りの日本国大使館でビザの申請を行います。大使館でのビザ申請に必要な書類は下記のとおりです。
必ず最寄りの日本大使館または総領事館のウエブサイトでビザの申請に必要な書類の詳細を確認してから申請してください。
日本に3か月以上滞在する人は日本の健康保険に加入します。また3か月以上滞在し、年齢が20歳以上の人は日本の国民年金にも加入します。留学生の多くがこのどちらにも該当するため、これらの特徴と注意点についてご案内します。
在留期間が3カ月を超える外国人は健康保険に加入しなければなりません。この健康保険によって医療費の70%が保険でカバーされます。もしも未加入の状態で病気やけがで治療を受ける場合は100%の自己負担で、高額な治療費を支払うことになります。あらかじめ加入しておくことで治療に伴う経済的な負担を軽減するための大切な制度です。
加入方法は、住所登録をしている市区町村の国民健康保険担当窓口に、パスポート(旅券)や在留カードなど、本人証明書類を持参して手続きを行います。国民健康保険に加入すると、保険証が交付されます。
前年度(前の年の4月から今年の3月末まで)に日本での所得が少ない学生などには、住んでいる区・市役所、町村役場で減免申請をすると、保険料が減額される場合があります。
毎年1月下旬に、国民健康保険証に記載されている住所に、次年度(その年の4月から来年の3月末まで)用の所得を証明する用紙が送られてきます。それに必要事項を記入して、期日までに区・市役所又は役場に返送してください。
この手続きを忘れると、次年度の保険料に留学生割引がなくなり、健康保険料が高くなります。万一期日までに書類を送付し忘れた場合は、保険証を持って居住地の市役所又は役場に行き、必要な修正を行ってください。
在留期間が3カ月を超える外国人で、満20歳以上の人は日本の年金へ加入しなければなりません。住所登録をしている市区町村の国民年金担当窓口に、パスポート(旅券)や在留カード等の本人証明書類を持参し、国民年金被保険者関係届書を提出します。 約1カ月後、国民年金手帳と国民年金保険料納付書が手元に届きます。
年金手帳は将来日本で就職する際に必要になります。大切に保管してください。
留学生などの学生向けに、在学中の保険料の納付が猶予される学生納付特例制度が設けられています。この制度の利用には申請手続きが必要なので要件や方法については、日本年金機構のページからご確認ください。
アルバイトをするときには、地方入国管理局で資格外活動許可を受けることが必要です。この手続きは留学ビザの場合、来日した空港でも上陸許可の申請と一緒に行えます。
アルバイトは、連続した7日間で合計28時間までの制限で行うことができます。アルバイト先を2つや3つ持っていても、アルバイトができる時間は、アルバイト別ではなくて、合計して1人で7日間に28時間までです。春期・夏期・冬期休業期間などの学校がお休みの時は、1日8時間 を目安にして7日間で40時間までを限度としてアルバイトで働くことができます。
「連続した7日間」は「1年間を52週にしたなかの1週間(日曜日から土曜日)」ではありません。
「連続した7日間」は「どの曜日からカウントしても7日間」という計算方法です。たとえば火曜日から計算したら次の週の月曜日までの7日間、金曜日からカウントしたら次の週の木曜日までの7日間、という日数の数え方になります。
間違っている7日間とアルバイトの合計時間の数え方 | ||||||||
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日曜日 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | 合計時間 | |
1週 | 7時間 | 0 | 7時間 | 0 | 7時間 | 7時間 | 0 | 28時間 |
2週 | 3時間 | 4時間 | 7時間 | 7時間 | 7時間 | 0 | 0 | 28時間 |
この上の表では、7日間をいつも日曜日からカウントしています。しかしこの方法で計算する「7日間で28時間」は正しくありません。もしも木曜日から次の週の水曜日までで計算すると7日間で35時間働くことになります。
正しい7日間とアルバイト時間のカウント方法(数字はアルバイトの時間) | |||||||||||||
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日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 合計 |
8 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 28時間 | |||||||
4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 0 | 8 | 28時間 | ||||||
4 | 4 | 4 | 4 | 0 | 8 | 4 | 28時間 | ||||||
4 | 4 | 4 | 0 | 8 | 4 | 4 | 28時間 | ||||||
4 | 4 | 0 | 8 | 4 | 4 | 4 | 28時間 | ||||||
4 | 0 | 8 | 4 | 4 | 4 | 4 | 28時間 | ||||||
0 | 8 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 28時間 |
「7日間で28時間」をカウントする正しい方法は、どの曜日から7日を数えてもアルバイトの時間が28時間以内に収まることです。この表のように日曜日から土曜日までの7日間で計28時間になり、水曜日や金曜日など他のどの曜日から7日間を数えても28時間以内に収まることが必要です。
風俗営業には、性風俗関連はもちろん、下記のような業種も該当します。
喫茶店やレストランのような外観をしていても実は風俗営業のお店ということもあるので、事前によく調べてからアルバイトに応募してください。また上記の業種では調理場や清掃、路上のチラシ・ティッシュ配布といった間接的な業務も禁止されています。
7日間で28時間の規則に違反して多くの留学生がビザを失くしてしまい日本から出国しなければいけなくなっています。特に時間の規制に注意をしてアルバイトをしてください。
ビザの更新は「在留期間更新の手続き」といいます。有効期限の3ヶ月前から更新許可申請ができるので、必ず有効期限内に手続きを行ってください。
1 在留期間更新許可申請書
2 証明写真(たて4cmよこ3cm)
3 パスポート(原本とコピー)在留カード(原本と表・裏のコピー)
4 学校からの在学証明書と成績証明書
学校の種類などに応じて内容が異なります。
5 日本在留中の経費支弁能力を証する文書
6 その他学校の種類によって異なる書類
6の書類は「学校の種類」によって分けられ、さらにその種類の中で「在籍管理優良校」「適正校」「該当しない学校」によって異なります。詳しくは当事務所へお問い合わせ下さい。
留学ビザで更新が不許可となりやすい事例をご紹介します。このようなことにならないようご注意ください。
学校の成績が極端に悪い場合や、特に日本語学校や専門学校では出席率について、厳しく審査されます。もし出席率が70%以下のような状態の場合には、病気や怪我で入院していたなど合理的な理由がない限り、ビザの更新はとても難しくなります。大学では出席率は留年してしまうような場合を除き、あまり重要視されません。しかし成績が極端に悪い場合には、合理的な説明がつかない限り更新が難しくなってしまいます。
アルバイトの28時間規則に違反した場合には日本の法律に違反したことになり、ビザの更新が不許可となることはもちろん、ビザの有効期限が来る前にビザの取り消しという処分になる可能性があります。いったんこのような結果が出ると日本から出国させれらることになり、所定の期間は日本に再入国することもできません。当然学校は退学となってしまいます。
この2つの理由は多くの場合で関連して発生します。
学校に行かなくなる、そしてアルバイトを増やす、疲れてしまってもっと学校に行かなくなる、というような悪いスパイラルです。
アルバイトを多くしてしまうと必ず入管には知られてしまいます。バレなければいいと思っていても必ず違反は見つかります。規則は必ず守ってください。
日本で就職を希望していても学校の卒業までに就職が決まらないこともあります。もし就職がきまらなかったら、卒業した後にも日本で就職活動を行えるビザ(通称:就職活動ビザ)があります。ぜひ活用してください。
在学中の留学ビザから、「特定活動」または通称で就職活動ビザという名前のビザに変更する必要があります。このビザに変更すると学校を卒業してからも最大1年間(基本的に6ヶ月の有効期間で、一度だけ更に6ヶ月の更新ができます)はそのまま日本国内で就職活動のために住み続けられるようになります。
A 大学院、大学、短期大学、高等専門学校などを卒業した人で卒業前から就職活動を行っている人
B 専門士の称号を与えられ専門学校を卒業した人で、その分野が技術・人文知識・国際業務ビザなどの職種の範囲であり、卒業前から就職活動を行っている人
最初に卒業する学校から、継続就職活動についての推薦状を発行してもらいます。なおこの書類には、各学校で独自の規則がありますので、必ず事前に確認してください。
次に出入国管理局へ下記の書類を提出して、ビザ変更の審査を受けます。
1 在留資格変更許可申請書 1通
2 写真(たて4cmよこ3cm)1枚
3 パスポート及び在留カード (提示します)
4 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書(銀行口座の残高証明書などです) 適宜
5 大学生、大学院生、短期大学生、高等専門学校生の場合
6 専門学校生の場合
留学生ビザから就職活動ビザに変更しても、留学生の時と同じようにアルバイトをすることが可能です。しかしアルバイトを行うための資格外活動の許可は、就職活動ビザに変更した後にもう一度取り直す必要があります。
もし内定から入社の日までにビザの有効期限が過ぎてしまうようなら、内定者のための「特定活動」というビザに再度切り替えが必要です。ただしこのビザの申請では、内定した企業から提出してもらう必要のある書類が多いのがネックです。内定まで期間が空く場合は内定先の企業担当者に事情を説明して、協力を得られるようにしてください。
なおこのビザの期間中もアルバイトは資格外活動許可を得てから、規則の範囲内で行うことが可能です。
1 在留資格変更許可申請書 1通
2 写真(たて4cmよこ3cm) 1枚
3 パスポート及び在留カード 提示
4 在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書 適宜
5 内定した企業で採用後に行う活動に応じて変更することとなる,就労に係る在留資格への在留資格変更許可申請に必要な資料
6 内定した企業からの採用内定の事実及び内定日を確認できる資料 1通
7 連絡義務等の遵守が記載された誓約書 1通
8 採用までに行う研修等の内容を確認できる資料(該当する活動がある場合に限る。) 適宜
留学生ビザは取得するときよりも、更新や就職のときの変更などで困ることや心配なことが多いと思います。もし何か不安なことがあれば、お気軽にご連絡ください。初回相談は無料です。