特定技能ビザとは慢性的な人手不足と認定された業種で、即戦力として就業する在留資格です。特定技能ビザで活躍される例は、下記のような現場での業務が中心になります。
上記の業種も含めて合計12の業種で即戦力として就労されることが期待されています。
在留期間は、特定技能1号では、1年、6ヶ月、4ヶ月で、更新を行うことで最大5年間の在留期間となります。特定技能2号では、3年、1年、6ヶ月で年数の上限なく更新し続けることが可能です。
即戦力外国人の雇用をご検討される企業様にも、日本に住んでいる方を特定技能で雇用するメリットを解説しておりますのでご参考頂けますと幸いです。
2024年3月現在、特定技能1号の対象となっている業種は下記の12種類です。しかし現在の日本では人手不足は下記の業種以外でも慢性的な問題となっているため、今後他の業種も追加される可能性がります。(コンビニを追加する検討が2020年に行われましたが、いったん見送りとなっています。)
特定技能1号の対象業種
・介護 ・ビルクリーニング ・素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業 ・建設 ・造船・船用工業 ・自動車整備 ・航空 ・宿泊 ・農業 ・漁業 ・飲食料製造 ・外食業
特定技能2号は、特定技能1号として働いた後に特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人として所定の試験に合格した方が対象です。
(2024年3月現在)特定技能2号の対象職種
・ビルクリーニング ・素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業 ・建設 ・造船・船用工業 ・自動車整備 ・航空 ・宿泊 ・農業 ・漁業 ・飲食料製造 ・外食業
※1号の対象職種から「介護」のみ2号から外れています。
特定技能1号は、原則としてすべての国・地域の方が対象です。学歴や経歴などの要件は必要ありません。
業種の試験は、漁業分野を除いて、すべての試験を日本国内で受験することができます。試験はすべての在留資格の種類の人が受験することができます。家族滞在ビザや留学ビザ、特定活動ビザでも当然受験することができ、短期滞在ビザ(旅行ビザ)でも受験することができます。
たとえば家族滞在ビザの人が、介護の特定技能として働いて、その期間中に介護の資格を取って介護ビザに変更することも可能です。もちろん元の家族滞在ビザに戻ることもできます。日本語学校を卒業する方が、特定技能で働いて専門学校や大学の学費を貯めてから、大学生や専門学校生として留学ビザに戻ることも可能です。
1 日本語の試験
日本国内で試験を受ける場合は、日本語能力試験N4が該当します。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)も受験可能です。試験会場は日本国外のみです。
「介護」の分野のみ上記の試験に加えて、介護日本語評価試験の受験も必要です。
2 業種ごとの試験
対象となる業種ごとに試験が設定されています。漁業以外の分野では、日本国内での受験が可能になりました。
技能実習2号を良好に修了された方は、試験が免除されます。
技能実習2号を良好に修了(技能検定3級に合格など)された方で、実習と同じ分野の特定技能として就職する場合には、日本語・技能試験の両方ともが免除されます。なお技能検定以外にも、実習先から実習中の出勤状況や技能等の修得状況や生活態度等を記載した評価に関する書面で、技能実習2号を良好に修了したと認められる場合も含みます。
日本語試験と技能試験に合格したら、合格した分野で特定技能で求人を行っている会社をハローワークなどで探して、希望する条件と会社の条件が合っていたら雇用契約を行います。そして在留資格を特定技能に変更する申請を行ってから働き始めます。
母国が定めた手続きを大使館などでしなければならない場合があります。例としてミャンマー国籍の方は、就職先を決めた(雇用契約をした後)ら、ビザの変更前にミャンマー大使館でパスポートの更新手続きが必要です。その他各国の手続きについては母国の大使館にご確認ください。
留学ビザは勉強をすることが優先されるビザなので、試験に合格して就職先が決まっていても、学校を卒業せずに(退学などで)特定技能に変更して働き始めるのは歓迎できないと入管は考えているようです。留学ビザの場合は、卒業するタイミングに合わせて特定技能に変更するようにしましょう。
特定技能制度は2019年の開始当時、海外で試験に合格し新たに日本へ入国する外国人を主な対象として運用が開始されました。しかし現在では、漁業を除く、13の業種すべてで日本国内の試験を実施しています。国内での受験が可能になったことで日本国内在住の留学生や家族滞在ビザなどの方が特定技能ビザへ移行しやすくなり、人材候補の幅が広がりました。
海外の採用活動に比べて国内での求人は、特定のエージェントや送出し機関を経由する必要はなく、ハローワークの利用や直接求人など通常の採用活動とほぼ同じ内容になります。
海外での採用の場合、航空券などの渡航費用も発生しますが国内採用の場合は当然不要です。
特定技能で外国人を雇用するときには、約10種類の支援業務を行う必要があります。
しかしその多くは初めて来日する外国人を対象としています。すでに日本に住んでいる場合は支援内容を採用候補者と確認したうえで、不必要な支援業務を削減することができます。
支援業務の全部を登録支援機関に委託する場合、登録支援機関への委託費用が一人あたり月額2~3万円ほど発生します。特定技能では待遇が日本人と同額以上の規定があるため、給与額によっては年間10%程度人件費が高騰するのと同じことになってしまいます。必要な支援業務を自社で行える場合は、この費用負担もなくなります。また部分的に委託する場合でも月額の委託費用を交渉で減額できる可能性もあります。
特定技能の外国人材を日本国内で採用するメリットは、即戦力の人材を特別な採用費をかけずに求人できることです。日本での滞在が長く日本語が話せるうえ、日本の文化や生活慣習にも馴染んでいることから、海外から採用する場合と比べて工程とコストを大きく削減できます。
会社が登録支援期間を経由せずに特定技能制度を活用するには、会社の事業が認定された14業種に分類されるほかに下記の要件に該当することが必要です。ここではそれら要件の詳細についてお伝えいたします。
業種を所管する省庁が協議会を設置しています。建設業を除き、過入金や年会費などは無料です。
雇用する企業は特定技能ビザの外国人材との間で雇用契約(特定技能雇用契約)を取り交わす必要があります。特定技能雇用契約で必要な内容は大きく2種類になります。
この2週類の内容に含まれるべき事項は具体的には下記のとおりです。
通常の雇用契約と大きく異なる点は「差別的な待遇の禁止」、「帰国困難時の支援」、「生活状況の把握」の3点だけです。
一時帰国時の休暇とは通常では有給休暇の扱いです。分野ごとの基準とは、企業側は14業種に該当すること、外国人側は試験などに合格していることです。
雇用契約に関しては、企業側に下記の要件が備わっていることも必要となります。
一般企業なら問題となるような項目はほぼありません。
特殊な要件としては、6の「保証金を外国人が取られいるのを知っていながら雇用してはいけません」ということですが、海外の悪質なエージェントを排除するための項目なので、国内採用ではほぼ問題になりません。
外国人材の日本での生活をサポートするために、1人1人に対して生活面での支援計画を策定することが必要です。支援計画の内容はおもに10項目ですが、国内採用の場合には不要となる項目が多数含まれています。
国内採用の場合は1~4の支援はほぼ不要になります。また5~7は何年か日本で生活している人が対象者であれば省略できる可能性があります。ただし要・不要には明示された基準があるわけではなく、採用候補者と実際に打ち合わせをして不要な支援を削除する必要があります。そのうえで入管と事前確認しておくことをお勧めいたします。
支援計画を自社で行える企業は、下記のいずれかに該当する必要があります。もしどれにも該当しない場合は、登録支援機関に支援業務を委託することによって代替とすることができます。
1の中長期在留者(就労資格のみ)とは、技術・人文知識・国際業務や技能、技能実習などの働くことができるビザをもつ人のことを意味しています。
2で規定する”従事した経験”とは、会社の業務として行ったことを意味し、ボランティア活動などは対象となりません。また人材紹介会社で求人情報を紹介しただけの経験も対象外です。
支援責任者と支援担当者は、同一人物が兼任することが可能です。社員でも役員でも構いません。ただし特定技能外国人に業務指示を与えるライン上の上長にあたる方や事業の責任者である社長などは好ましくないとされています。
外国人社員を雇用したことがなくても、支援業務を適正に実施することができて、これまで日本人労働者等を適正かつ適切に雇用してきた実績のある会社であれば、上記3の会社であると判定される可能性があります。
外国人を正社員として雇用した実績のない会社でも、これまで問題なく外国人をアルバイトなどで雇用してきた会社などは、雇用実績に関する書類を用意して、入管に事前相談されることをお勧めします。
なお上記の1から3に該当する企業は、加えて下記の要件が必要です。
企業が行う届出には、ルーティンな届出と、規定されたことが発生した時だけおこなう届出の2種類があります。
ルーティンな届出
タイミング:四半期ごとに、初日から14日以内
届出ること:
発生ごとに行う届出
タイミング:発生してから14日以内
届出ること:
以上、企業側の基準について詳しくご紹介してまいりました。
ほとんどが普通の企業なら問題のない要件と言えます。キーポイントは、外国人に対する支援計画を実施できる会社に該当するかどうかです。該当しない場合は登録支援機関の利用という手段がありますが、コスト面ではあまり歓迎できない企業が多いと思います。まずは、自社が支援計画の実施会社に該当するかどうか、入管への事前相談も含めて、検討することから始めてみてはいかがでしょうか。
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