日本国内で外国人が働くときには、ひとりひとりに就労することが可能なビザ・在留資格が交付されていることが必要です。もちろん採用する会社側でも候補者のビザ・在留資格を確認しておくことが求められています。
ではどのようなビザ・在留資格が日本国内で適法に働くことができるのか、確認の方法、その種類や許可の条件など、そして注意点まで、このページでは分かりやすくお伝えいたします。
外国人社員の新卒採用や中途採用を検討するときには、候補者のビザ・在留資格を確認することが必要です。ここでは「在留カード」によって確認する方法を順番に解説いたします。
「在留カード」は住所・氏名・国籍などから、その人の在留資格の種類、就労制限の有り無し、有効期限などの個人情報が記載されています。在留カードを確認するときには必ず本人の了承を得たうえで行ってください。
まず在留カードの表面で「在留資格の種類」と「就労制限の有無」の事項を確認します。
このサンプル画像では在留資格が「留学」という働くことができない種類ですので、就労制限の有無については「就労不可」と記載されています。つまりこのままの在留資格では働くことができない状態だと分かります。
「永住者」と「高度専門職2号」以外の在留資格には「在留期間」が定められています。その満了日についても確認が必要です。この満了日が経過していると基本的にオーバーステイの状態となります。満了日が近付いている場合には入社日との兼ね合いなども発生しますので、更新手続きなどの段取りについての検討も必要です。
日本の住所は基本的に在留カードの表面に記載されています。しかしその住所は「在留カードの発行されたときの住所」ですので、その後の転居で住所が変わった場合には在留カードの裏面に新しい住所が記載されることになります。
この住所の届け出は義務となっており、ただしく届出を行っていない場合は「在留資格の取り消し」の対象となってしまうことから、採用段階でも確認しておくことが必要です。
在留カードは日本に住む外国人に対して携帯が義務付けられているとても重要な身分証です。それゆえに在留カードの偽造犯罪が後を絶たない状況が続き、残念ながら偽造在留カードの精度も見ただけでは分からないほど上がってきているようです。
現行の在留カードには改編が難しいICチップが内蔵されています。出入国在留管理庁ではこのICチップの情報を読み取り、対象の在留カードが正規のものであるかどうかを判別できる「在留カード等読取アプリケーション」を配布しています。
このアプリはスマホに対応していることはもちろん、行政書士など有資格者以外でも活用できます。当事務所では偽造在留カード対策として人事部などの採用担当者様にはこのアプリの使用を推奨しております。
在留カードは重要な個人情報でもあるので、あくまでも本人の了解を得たうえでの使用にご留意していただければ幸いです。
このページで使用している在留カードの画像は、出入国在留管理庁ホームページの画像を使用しております。また同画像に対し一部(赤線枠)を当事務所で加工しております。
日本で働くことができるビザ・在留資格の中で、仕事内容に制限のない身分系の種類とは異なり、就労系のビザ・在留資格には「働くことのできる内容」が規定されています。たとえば調理人として「技能ビザ」が交付されている人が調理学校の講師として働くことはできませんし、「技術人文知識国際業務ビザ」が交付されている人が建設現場の作業員として働くことはできません。
このため外国人社員の採用を検討する場合には、予定している仕事の内容が候補者のビザ・在留資格に適合しているかどうかの確認が必須になります。
技術職やマーケティング、営業、通訳などの職種で、おもに会社のオフィスで勤務する幅広い職種が該当します。外国人客の多い小売店の現場勤務でも通訳・翻訳業務として許可される場合もあります。専門学校や大学の卒業などの学歴か、一定の職務経歴などが要件として設定されています。大学を卒業して就職する留学生の多くが取得するもっとも一般的な就労系ビザです。
いわゆる「ウデ」で働くプロフェッショナル向けのビザです。
イタリアン、フレンチ、中華のコックや、飛行機のパイロット、宝石の加工職人などの職種が該当します。オフィスではなく、厨房や作業場などの「現場」で働くことがメインとなります。建築関係では、海外の伝統様式の建物工事などもこのビザにあてはまります。技能ビザには実務経歴など必要とされる要件が職種に応じて設定されています。
会社経営者や、工場長など大きな部門などの管理者として働くためのビザです。
既存の会社だけではなく、これから創業する会社にも適用されます。会社の資本金など多くの要件が設定されています。
技術・人文知識・国際業務ビザでは許可されにくい「現場業務」」も担当できるビザです。日本の大学を卒業した人だけが対象となるなど独特な条件も設定されています。
企業の研究所などで研究者として働く人のビザです。研究所は企業の研究所などが該当します。※大学など教育機関での研究は教授ビザに該当します。
弁護士資格や会計士資格など、個人に許可された資格に基づいて業務を行う人が対象です。既存の事務所に勤務する場合でも、個人で独立して開業する場合でも法律系の対象資格の業務を行う場合はこのビザが該当します。
小学校や中学校などの学校で先生として働くためのビザです。ただし民間の語学学校など、法律上の学校とは異なる場所での語学講師は「技術・人文知識・国際業務ビザ」の対象となりますので注意が必要です。
介護職として働く場合や介護指導の仕事を行うための就労系の在留資格です。介護福祉士の資格が条件となりますが、この資格取得のためのサポートも充実しています。
ここでご紹介した各ビザに関する詳細はそれぞれのページでご確認いただければ幸いです。各就労系ビザには取得のための条件も設定されているため、担当する業務の内容だけではなく、外国人の経歴や学歴が条件に適合するビザを選ぶことも重要です。
そして一定のキャリアや能力を認められた人には高度専門職ビザ(日本での滞在内容や永住権の条件などが厚遇されます)など、働く人の状況に合わせたビザも検討することができます
もしも外国人社員に対して申請するビザの種類や手続き、必要な書類など、お困りや不明なことなどがあれば、お気軽にご相談ご連絡をいただければ幸いです。
ビザ・在留資格に関係する実務は、おもに下記の2つの場面で発生します。
このタイミングでビザに関して発生する業務は、下記のようになります。
新卒採用でも中途採用でも、外国人社員を採用する場合にはその候補者が現在保有しているビザを確認することが必要です。確認する内容は、在留資格の種類、在留資格の有効期間、応募書類の住所と在留カードの住所が一致しているかなどを在留カードの原本によって確認します。
新卒採用の場合はほとんどの候補者が”留学”など就労系以外のビザですので、ビザを担当業務に該当する就労系ビザへ入社時期に合わせて変更する必要があります。
変更業務( 留学生から会社員などへ ):在留資格変更許可申請といいます。
海外の大学卒業者など、外国から呼び寄せる場合には就労系ビザを新規取得する申請が必要になります。
新規取得業務( 海外から呼寄せる ):在留資格認定証明書交付申請といいます。
中途採用の場合では、保有するビザが予定する業務と適合していないときには、ビザの種類を変える業務も発生することがあります。
変更業務( 業務に適合するビザへ変更する ):在留資格変更許可申請です。
「就労資格証明書」を利用されることをお薦めします。転職する時に次の会社での業務が今のビザで有効に行えるかどうかを入管に確認できる仕組みです。ただし「就労資格証明書」の発行を強制することは出来ませんのでご注意ください。
勤務中の外国人社員について発生する業務は下記のようになります。タイミングは社員個人のビザの有効期間によって異なるので、その管理がとても重要になります。
ビザの有効期間は、外国人社員が持つ在留カードで示されています。ビザ更新を重ねるたびにだんだんと許可される期間が長くなっていく特徴があります。しかし有効期間の期限が近付いても、お知らせなどは送られてきませんので自主的な期間管理が必要です。期間満了が近付いた場合には、満了日の3か月前から更新の手続きを行えます。
担当業務に大幅な変更などがない場合には、なるべく早めのうちに更新手続きを済ましておくことをお薦めしております。
更新( 在留期間の更新):在留期間更新許可申請
ビザの変更・新規取得・更新の3つの手続と就労資格証明書に関する手続き、これらすべて行政書士浜岡事務所にご依頼いただけます。申請人(外国人社員)・会社のご担当者様は、お渡しする必要書類リストにそって書類をご用意いただくだけで、手続き完了までお手間をおかけすることはございません。
行政書士浜岡事務所では、採用を決定される前の段階でも仕事内容に合ったビザの種類や許可の見込みについてアドバイスをさせていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。
就労系のビザ申請手続きは、ビザを申請することになる外国人本人の書類と、勤務する会社の書類の両方が必要になります。提出する書類の種類については法務省などのHPで一応の案内がされています。しかし、あくまで最低限度の書類の案内でしかありません。
就労系のビザは申請人と企業・仕事の組合せによって許可されますので、状況によっては、その他資料の追加提出が求められます。当事務所では丁寧な聞き取り調査を行い、スムーズな許可取得が実現できる申請を行います。
在留資格の手続きは、出入国在留管理庁で割り振られた各地域の管轄内で行います。
新規申請(外国人社員を海外から日本に呼び寄せる場合)と変更・更新(外国人社員が日本に住んでいる場合)の窓口が異なる場合もありますので、ご注意ください。
基本的には、申請者(外国人本人)が行います。それに代わって(代理して)申請を行えると定められているのは、下記のとおりです。
出入国在留管理庁に登録された行政書士は申請取次行政書士と呼ばれます。当事務所も申請取次行政書士の事務所です。在留資格申請に精通した行政書士ですので、手続きにご不明なことや不安なことがあればお気軽にご相談ください。
外国人社員の雇用には日本人を雇用する場合とは異なることが多くあります。コンプライアンスの観点からおもな注意点をご紹介いたします。
就労が許可されていない在留資格の外国人が働いた場合には、働いた外国人に刑事罰が適用されます。そしてその人を働かせてしまった会社や個人事業主にも不法就労助長罪として、3年以下の懲役・300万円以下の罰金が科されます。
なぜ不法就労になってしまうのか? おもに下記のような原因ことが多いといわれています。
不法就労を防止するためには、面接時や雇い入れの時に外国籍の方が携帯している在留カードの確認を行うことが重要です。在留カードには、「在留期限」「日本で行える活動」「就労が可能かどうか」などが記載されています。
その他の方法としては、入管で就労資格証明書を発行してもらい、自社で働くことができるのかどうか採用する前に確認することも有効な手段です。(ただし、就労資格証明書の発行を強制することは出来ません。採用候補者との合意が前提となります。)
ビザには在留期限(有効期間)が設定されています。日本での生活に問題なく、適切に更新を重ねて行けば、将来的には日本の永住資格の取得の可能性も開けてきます。しかし、もしも更新を忘れた場合や、更新が不許可になってしまった場合には、オーバーステイまたは不法就労の状態となってしまいます。
ビザは運転免許のように有効期間の期限が近付いても役所からお知らせなどは送られてきません。企業側ではオーバーステイ防止のために社員の在留期限に関する管理業務が重要になります。
外国人を雇用した会社・事業主は、外国人社員の氏名・ビザ(在留資格)などの情報を管轄のハローワークへ届け出ることが義務付けられています。
この届け出の期限は雇用形態によって2種類に分かれています。
もしこの届け出を怠ると30万円以下の罰金が科されます。そして外国人社員が離職した時もハローワークへ届出が必要です。また、ハローワーク以外にも所在地を管轄する出入国在留管理庁の支局へ雇用を開始したことの届出、離職した場合にはその旨の届出も必要です。
申請取次行政書士は出入国在留管理庁から認定されたビザ業務のスペシャリストです。行政書士浜岡事務所では、多忙な人事・総務系の管理部門ご担当者様に代わり、必要資料のリストアップ・必要書類の作成、入管での申請業務、許可後の証明書受領、外国人社員のビザ管理など、ビザに関するすべての工程で必要に応じたサービスをご提供しております。
ビザ業務が必要になった時だけのご注文から、総合的なコンサルタント業務まで柔軟に対応しておりますので、まずはお気軽にご相談いただければ幸いです。
人事部や総務部など企業の担当者様から当事務所にお寄せいただくビザに関する質問のなかで、よくお聞きするものをQ&Aの形でご紹介いたします。
在留資格を中心にした外国人社員名簿の作成から始めましょう。
会社で管理する在留資格の情報はおもに、・在留資格の種類 ・在留カードの番号 ・許可日 ・満了日 ・パスポートの有効期限などになります。このような情報を最低限エクセルなどで外国人社員名簿として作成しておけば、効率的な在留カードの管理をすることができます。
法的には、外国人社員本人、会社の担当者、行政書士や弁護士などが行えます。
更新手続きをできる人は法律で決められていますが、その中で本人が行うのか、会社の担当部署の社員が行うのかは、それぞれの会社の事情によって異なっています。
当事務所にご依頼をいただく事例では、
・会社都合で勤務(転勤ビザなど)している場合や経営管理ビザの場合は、会社の担当者
・それ以外の場合は、外国人社員本人が手続きをすることが多いと言えます。
外国人社員本人が手続きをする場合でも、更新申請に必要な会社関係の書類の用意や、更新後のビザ有効期間の管理など、会社担当者のご協力が不可欠です。当事務所ではビザの手続きについて会社担当者様から、外国人本人から、どちらからでもご依頼をいただいております。
会社によって異なります。雇用契約書などを活用しましょう。
こちらも会社の状況によってケースバイケースです。やはり会社都合などで転勤してきている場合は、会社負担が多いと言えます。手続きの時間を、業務時間とするか、有休とするかも質問が多いのですが、こちらも同様にケースバイケースです。
大切なのは、入社前の雇用契約書などでビザに関する規定を設けておくことです。
上記のようなことを雇用契約書に規定しておけば、ビザの手続きについて外国人社員からの質問にも明瞭に答えられ、不要なトラブルを防止することができます。
これまでの区分を横断するような職種・ポジションも増えています。まずは当事務所へお気軽にご相談ください。
ビジネスシーンが変化していくなか、各企業では既存のビザで想定されているような職種の事例にピッタリとあてはまらないものが増えてきています。しかしビザ申請の手続では、予定職種がビザにピッタリとあてはまらない事によって不許可になるのではなく、その職種の「実態」に適合しないビザを申請してしまうことが不許可になってしまうといえます。
ビザの申請ではもし間違った種類のビザを申請した場合でも、不許可の結果が出るまでに1ヶ月以上の時間がかかります。貴重な時間の浪費を避けるためにも、もし申請すべきビザの種類に疑問や不安なことがあれば、お気軽に当事務所へお問合せください。ご事情や職種についてお伺いし、適切なビザ申請についてアドバイスさせて頂きます。
人事部からのご依頼が多いですが、その他の部署からもご依頼を頂いております。
人事部と総務部の機能を一緒にしている会社もありますし、小さな組織の会社ではそもそも人事部という部署もなく、代表者が管理系の業務を一人で行っていることもあります。
肝心なのは、大切な「社員の個人情報」を扱うことへの注意です。外国人であっても日本人であっても個人情報の保管・取り扱いについては社会的な責任が伴います。在留資格の手続きではこの個人情報についてどうしても触れてしまうことになります。人事部であっても総務部であっても、これら個人情報の取り扱いについて会社を代表する部署が担当されることが望ましいと言えます。
管理系業務を担当する社員の負担をいかに抑えるかという点も重要です。もともと非生産部門の管理系部門は人員の縮小などコストカットの対象になりやすいなかで、最近ではワークライフバランスの推進などが管理系業務の負担増となる逆現象が起きています。その中でもビザに関連する業務は、不定期に発生するイレギュラーな存在で、しかも取扱にはそれなりの知識と経験が要求される厄介なものの一つです。
当事務所では会社担当者様のビザ業務に関する負担をなくし、通常の業務に集中できるよう、ご事情に合わせたサービスを提供しております。お気軽にご相談くださいましたら幸いです。