在留資格(ビザ)は外国人が日本国内で暮らし、学び、働いたりするために必要な法的資格です。もしも在留資格を持たない場合は原則的に日本で暮らすことができなくなるため、外国籍の人にとっては欠かすことのできないものです。このように実際に日本で暮らす外国人のひとり一人に、その人の目的や事情に応じた在留資格が発行されています。
「在留資格の種類」は、2023年3月現在、29種類が「出入国管理及び難民認定法」(いわゆる入管法です)において定められています。おもにこの29種類の在留資格は、大きく下記のように分類されます。
そして在留資格には、永住者などの一部の種類を除いて、「在留期間」という有効期間が定められています。その期間が満了するときに引き続いて日本での在留を希望する場合には期間の更新手続きを行います。
身分や地位に基づく在留資格とは、日本人と国際結婚をした人などを対象者としています。日本での在留を「目的」ではなく、その人のまさに身分を根拠として発行される在留資格です。
このグループの在留資格には日本での活動(就労など)に制限がありません。
定住者の代表例としては、日系3世の人などがあてはまります。
働くこと(就労)が日本滞在の目的となる在留資格は、現在のところ、19種類が規定されています。
身分系の在留資格以外では、基本的にこのグループの在留資格によって定められた範囲の就労が可能になります。
活動内容が根拠となる在留資格のなかで「就労」が認められるもの | ||||
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名称 | 活動内容 | 該当例 | 在留期間 | |
外交 | 外国政府の外交使節団、領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者、これらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 | 外国政府の大使やその家族 | 外交活動の期間 | |
公用 | 外国政府・国際機関の公務に従事する者、またはその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 | 大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者やその家族 | 5年 3年 1年 3ヶ月 30日 15日のいずれか | |
教授 | 大学や大学に準ずる機関または高等専門学校で研究、研究の指導または教育をする活動 | 大学教授など | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | |
芸術 | 収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動 | 作曲家、画家や著述家など | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | |
宗教 | 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 | 宣教師など | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | |
報道 | 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 | 外国の報道機関の記者など | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか |
下記の在留資格の種類は、許可されるための条件(基準省令や上陸許可基準などといいます。)が種類ごとに設定されています。
※各在留資格の条件については、各在留資格のページでご確認ください。
活動内容が根拠となる在留資格のなかで「就労」が認められるもの(個別の条件あり) | |||||
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名称 | 活動内容 | 該当例 | 在留期間 | ||
高度専門職 | (1号)日本の公私の機関との契約に基づいて研究、研究指導、教育をする活動、または自然科学や人文科学の分野に属する知識・技術を要する業務に従事する活動、または経営・管理を行う活動、またはこれらの活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動など | ポイント制による高度人材 | 5年 | ||
(2号)1号の活動を行った者で、その在留が日本の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う日本の公私の機関との契約に基づいて研究、研究指導、教育をする活動、または自然科学や人文科学の分野に属する知識・技術を要する業務に従事する活動、または経営・管理を行う行動。またはこれらの活動と併せてこの表の教授~報道、法律・会計業務、医療、教育、技術・人文知識・国際業務、技能などに該当する活動など | 無期限 | ||||
経営・管理 | 貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動 | 経営者 | 5年 3年 1年 6ヶ月 4ヶ月 3ヶ月のいずれか | ||
法律・会計業務 | 外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 |
弁護士 |
5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
医療 | 医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 | 医師、看護師 | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
研究 | 日本の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動 | 研究所や企業の研究者 | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
技術・人文知識・国際業務 | 日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動 | 技術者、事務職、通訳、デザイナーなど | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
企業内転勤 | 日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が日本にある事業所に期間を定めて転勤して行う技術・人文知識・国際業務と同様の活動 | 外国の事務所からの転勤者 | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
教育 | 日本の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動 | 小学校から高校までの語学教師など | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
介護 | 日本の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動 | 介護福祉士 | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
興行 | 演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動 | 俳優、歌手、プロスポーツ選手など | 3年 1年 6ヶ月 3ヶ月 30日のいずれか | ||
技能 | 日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者など | 5年 3年 1年 3ヶ月のいずれか | ||
特定技能 | (1号)日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野で法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 | 特定産業分野の各業務従事者 | 1年 6ヶ月 4ヶ月(上限5年) | ||
(2号)日本の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野で法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動 | 3年 1年 6ヶ月 | ||||
技能実習 | (1号)技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づいて、講習を受け、技能等に係る業務に従事する活動 | 技能実習生 | 法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) | ||
(2号)技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | 法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲) | ||||
(3号)技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | 法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲) |
日本への留学や研修が目的の場合や、または日本で働いている人の家族などを対象とした在留資格です。
アルバイトなどを除いて日本で働くことはできません。
「就労」以外の活動目的に対して発行される在留資格 | |||
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在留資格の名称 | できること | 該当例 | 在留期間 |
文化活動 | 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動若しくは日本特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動 |
日本文化の研究者、 |
3年 1年 6ヶ月 3ヶ月のいずれか |
短期滞在 | 日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動 | 観光客など | 90日、30日、15日以内の日を単位とする期間 |
「就労」以外のことを目的にする在留資格の中で下記の種類には、許可の条件(基準省令や上陸許可基準といいます。)が設定されています。
※条件については、各在留資格のページでご確認ください。
活動内容が根拠となる在留資格で「就労」が認められないもの(基準省令の適用あり) | ||||
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名称 | できること | 該当例 | 在留期間 | |
留学 | 日本の大学や専門学校などで教育を受ける活動 | 留学生 | 法務大臣が個々に指定する期間(4年3月を超えない範囲) | |
研修 | 日本の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動 | 研修生 | 1年 6ヶ月 3ヶ月のいずれか | |
家族滞在 | 教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 | 在留外国人が扶養する配偶者と子供 | 法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
この在留資格の「活動の内容」は法務大臣が指定できることに特徴があり、必要に応じたフレキシブルな対応が求められるような場合にも活用されています。
日本での活動内容を法務大臣が個々の外国人について特に指定するもの | |||
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名称 | できること | 該当例 | 在留期間 |
特定活動 | 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動 | ワーキング・ホリデー、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者など | 5年 3年 1年 6月3ヶ月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
最近ではウクライナから戦禍を逃れるために日本へ避難された方々へも「特定活動」の在留資格が発行されています。
このように状況に応じて発行されるものもありますし、反対に法務大臣があらかじめ内容を告示して類型化しているものもあります。
内容が告示されている場合には番号がつき、例としては「特定活動46号」として日本の大学を卒業した留学生の就職先を拡げるような目的のものがあります。
いままでご紹介してきた在留資格を、ここでは具体的な仕事の種類や職業からどんなビザ・在留資格が必要なのかという観点で解説します。
経理や営業、設計や開発、デザインといった仕事を担当してオフィスで働くときには、下記のような在留資格があてはまることが多いといえます。
この名称のとおり、開発やSEなどの技術系、経理や人事といった人文系、翻訳やデザインなどの国際感覚を使う業務や職種が対象になるビザです。一定の学歴か職務経験が必要条件になるほか、原則的には作業現場での肉体労働に分類される仕事は対象外になります。
2 企業内転勤
海外の親会社や子会社から日本の会社へ転勤する場合に該当します。業務や職種は技術・人文知識・国際業務と同じですが、学歴などは求められません。
3 経営・管理
経営者として働く場合に該当するビザです。経営者の他にも工場長のような大きな組織の管理者として働く場合もあてはまります。経営者の場合は学歴などの条件はありません。
4 高度専門職
高度専門職ビザではその種類によってデスクワークの担当者としても、経営者としても働くことができます。いろいろな優遇も適用されるので人気の高いビザですが、その取得には少々厳しい条件が付いています。
コンサートやフェス、ライブなどへの出演や日本で芸能活動をする場合には興行ビザがあてはまります。
興行ビザは大きく3つの仕事・職種をカバーしています。
1 コンサートなどへ出演する
2 プロスポーツ選手として活動する
3 映画の販促やTV出演などの芸能活動、映画などの撮影
学校の先生や教授として働く場合は、教える環境によってビザの種類が異なります。
1 教授
おもに大学などで研究したり、研究の指導や教育を行なう場合に該当します。名前は教授ですが申請する人の地位が教授である必要はなく、准教授や講師でも問題ありません。
2 教育
教育ビザで対象となる教育現場はおもに小学校から高校までがあてはまります。英語などの語学の先生や外国語指導助手(ALT)が代表的です。
※学習塾や英会話教室などで働く場合は教授ビザや教育ビザではなく、技術・人文知識・国際業務ビザの対象になります。
医師や看護師などの医療従事者、介護福祉士といった介護職などの専門職として働く場合や、研究所などで研究者として働く場合には下記のようなビザが該当します。
1 医療
医師や看護師、薬剤師などの日本の資格を持つ人が医療機関で働く場合に発行されるビザです。ポイントは医療の資格は海外の国のものではなく、日本の資格が必要であることです。
2 介護
介護ビザは介護福祉士として介護施設などで働く場合に対応したビザです。介護職として働く場合だけでなく、介護の指導も含まれます。
なお介護職として働く場合には介護ビザだけではなく、特定技能ビザを取得したり、または技能実習ビザもあてはまる場合があります。
3 研究
研究ビザは研究所や試験場、いわゆるラボなどの施設で研究者として働く場合に対応したビザです。
レストランの厨房を担当するシェフやコック、パイロットやソムリエなどの「現場のスペシャリスト」として働く場合です。
技能ビザは「その人独特の腕前」で働く場合に対応したビザです。学歴などではなく実務経験が重視されます。コックやソムリエの他にも宝石の職人やスポーツトレーナー、動物の調教師なども対象です。
もちろんここでご紹介した職業や職種の他にも対応したビザ・在留資格も用意されています。たとえば特定活動46号というビザは技術・人文知識・国際業務ビザでは対応していない現場作業とデスクワークを同時に担当できる種類です。ビザ・在留資格と仕事の組み合わせは意外と幅広く運用されています。
日本で働きたいけれどビザの種類が分からない、外国人社員を採用したいけれど在留資格の手続きが分からない、そのような場合はお気軽に当事務所までご相談ください。
2023年3月現在で規定されている在留資格29種類をご紹介いたしました。
在留資格の認定申請や変更申請の際などにご参考頂ければ幸いです。各在留資格の詳細は個別のページでご参考頂けますようお願い申し上げます。
行政書士浜岡事務所では、すべての在留資格から申請者の将来に関する希望も踏まえて最適な種類をアドバイスさせて頂き、効率的なビザ手続きをご提供します。
もちろん外国人本人だけではなく日本人のご友人や周囲にいる方々からのご相談や質問にもお答えさせていただきます。ビザ・在留資格について分からないことや不安なことがあればお気軽に当事務所へご連絡ください。