このページでは現在の在留資格・ビザから「経営管理ビザ」に変更する場合のタイミングや手続き、そして自分で作った会社で経営管理ビザを申請する場合について詳しく解説しています。
特に新しく会社を作って経営・管理ビザへの在留資格変更の手続きをする場合は、事務所や店舗を借りたり、必要な場合はビジネスに必要な免許を取ってから、経営管理ビザへの変更手続きをすることになります。ビジネスのための大事な資金を無駄にしないためにも、経営・管理ビザに変更するタイミングや資金の管理がとても重要になってきます。
会社やビジネスを起業する場合、現在のビザ(技術・人文知識・国際業務や技能、留学など)から経営管理ビザへ変更することになります。そしてこの変更するタイミングは、会社設立や税務署への開業届などが済み、「新しい会社がビジネスを始められるようになった後」です。
事務所や店舗の場所が決まってから経営・管理ビザの許可がでるまで、早くてもおおよそ3~4ヶ月程度の時間がかかります。(もちろん経営管理ビザの審査にもっと時間がかかる場合もあります。)ビザの許可が降りるまでの期間、開業資金のコントロールについても綿密に計画を立てることが必要です。
手続き | ①場所の用意 | ②会社の設立 | ③許認可の取得 | ④ビザ変更審査 | ⑤ビジネス開始! |
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必要な時間 | ー | 2~3週間 | 2~6週間 | 平均45日 | ー |
ビザの種類 | 今のまま | 今のまま | 今のまま | 今のまま | 経営管理 |
会社設立とは法人登記のことです。法人は株式会社でも合同会社でも、ビザの申請には影響ありません。経営するビジネスに合ったタイプを選ぶことが重要です。
会社ではない「個人事業主」として、経営・管理ビザの申請をすることは可能ですが、審査が法人に比べて難しくなる傾向があります。
次の1~4では、「株式会社」を設立する手続きをご紹介しています。経営・管理ビザを取得するには、通常の会社設立の手続きにはないポイントがあるので、あわせてご紹介しています。
定款(会社のルールを定める書類です)の事業目的(どんな種類のビジネスをするのか)を正しく記載して下さい。ビザの申請とも関連します。事業目的はいくつでも記載できますので、もしかしたら将来にするかもしれないビジネスも記載したほうが効率的です。
資本金は500万円以上が求められます。発起人(通常は、ビザを申請する人=経営者になる人)の口座に振り込んで、その銀行から証明を受けます。500万円の資本金を用意する方法の他には、「常勤の職員を2名以上雇用」することでも、許可の対象となります。
最初に作成した定款を公証役場に持っていき、公証人に「定款が正しい手続きに従って作成された」ことを認証してもらいます。株式会社を設立するには欠かすことのできない手続きです。
最後に設立する住所を管轄する法務局で「会社設立登記」を行います。この手続きは、会社の代表者が行います。ちなみに会社の設立の日は、登記が完了した日ではなく「登記を申請した日」になります。記念日や特別な日と一緒にしたいのであれば、申請する日をご注意ください。
なお会社の設立登記は、資本金を振り込んだ日(=払い込み証明書の作成日)から2週間以内に行わなければなりません。
会社の設立(法人登記)が済んだ後には、次の5から7の手続きを行います。
個人の印鑑を役所へ登録するように、会社の印鑑も法務局へ登録します。日本の契約では登録した印鑑による契約書への押印と、その印鑑を公的に証明する「印鑑証明書」の提出が多くの場面で求められます。印鑑証明書を簡単に発行するために「印鑑カード」が必要になります。
「給与支払い事務所等の開設届出書」は、初めて社員や従業員を雇用する時に税務署にを提出する書類のことです。提出は雇用することになってから1カ月以内に行います。この書類は、経営・管理ビザの申請でも使用することになります。そして税金関連の届出は、税務署の他にも「都道府県」と「市町村」へも必要です。
ビジネスを管轄する役所で許認可の取得手続きを行います。飲食店なら保健所で「飲食店営業許可」、不動産業なら都道府県知事から「宅建業の免許」、リサイクルショップなら扱う品物に応じた「古物商許可」を警察署から取得する必要があります。
以上の手続きを完了してから、出入国在留管理局で経営・管理ビザへの変更申請を行います
ビザ変更の申請に必要な「会社についての最低限の書類」は、1から7の手続きで用意できることになります。それらはあくまで最低限なので、特に厳しく審査される経営管理ビザでは状況に応じて会社について補足説明が行える書類(資本金の調達方法などを説明する書類など)を用意することも重要です。
社会保険と雇用保険への加入にも注意が必要です。
株式会社や合同会社などの法人は、従業員の人数に関係なく、たとえ社長一人の会社であっても、社会保険(健康保険、厚生年金保険)への加入義務があります。雇用保険は、1名でも従業員を雇用する場合は(林業などごく一部の例外をのぞき)必ず加入しなければなりません。
2020年8月改訂のガイドラインにより、会社として社会保険・雇用保険への加入と、その保険料を適切に支払っていること、従業員(アルバイト含む)の労働条件が労働基準法に合致していることが、経営管理ビザを更新する際に審査される重要な項目と発表されています。
せっかく会社を設立して経営管理ビザが1年後に更新不許可といった結果にならないように法令上必要な社会保険、年金、雇用保険には必ず加入してください。
経営管理ビザへの変更申請で必要書類な書類をご案内いたします。基本的には出入国在留管理庁で規定されている最低限の書類のご紹介です。この他にも、ほとんどの場合で申請者ごとに個別の事情に応じた書類を追加することになります。
ここでは新しく起業する場合を前提として、創業間もない会社が該当する「カテゴリー4」での書類をご案内しています。
1 在留資格変更許可申請書 1通
2 写真(たて4cm×よこ3cm) 1枚
3 申請人の活動の内容等を明らかにする、次のいずれかの資料
・ 役員報酬を定める定款の写し 1通
・ 役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社では、同委員会の議事録)の写し 1通
4 登記事項証明書の写し
5 事業規模を明らかにする次のいずれかの資料
・ 資本金の額又は出資の総額を明らかにする資料
・ 常勤の職員が二人以上であることを明らかにする当該職員に係る賃金支払に関する文書及び住民票その他の資料 各1通
・ 出資金の額または出資の総額明らかにする資料(株主名簿など) 1通
6 事務所用施設の存在を明らかにする次のいずれかの資料
・ 不動産登記簿謄本 1通
・ 賃貸借契約書 1通
・ その他の資料 1通
7 事業計画書の写し 1通
8 直近の年度の決算文書の写し(創業年度は不要です) 1通
9 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料のいずれか
・ 給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
・ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(受理印のあるもの) 1通
事業計画書は、これからこの会社でどのようなビジネスを行ってゆくのか、下記の項目などで他人に説明するためのものです。
初年度から3年後(できれば5年後)まで、年度ごとの計画と損益計算書などで具体的に説明することが大切です。申請する会社のビジネスが安定して継続できると審査で評価を得られるどうかにポイントがあります。
行政書士事務所浜岡事務所では、経営管理ビザへの変更について、事業計画書の作成からもお手伝いしております。お気軽にご相談ください。
他の種類のビザ、たとえば技術・人文知識・国際業務ビザや企業内転勤ビザなどの就労系ビザの方が、(会社を自分で起業する以外に)経営者や管理者の立場になる場合には、下記の2つの事例になることが多いと考えられます。
事例1 今まで勤めていた会社で昇進して、経営者や管理者になる。
いわゆる内部昇進によって経営者となった場合です。この場合は現在のビザをすぐに変更するような必要はありません。現在のビザの期間満了が近付いたタイミングで、経営・管理ビザへ変更することになります。
事例2 経営者や管理者として新しい会社へ転職する。
転職(別の会社へ移籍)して経営者や管理者になる場合には、ビザを経営・管理ビザに変更する必要があります。
どちらの場合も既にある会社の経営者に就任することになるので、経営・管理ビザを申請する場合には、その会社のカテゴリーに応じた書類の準備が必要になります。
経営・管理ビザへの変更申請に関するお問い合わせは、お電話、メールでお気軽にご連絡ください。
行政書士浜岡事務所では、会社設立や経営・管理ビザに関するお問合せやご質問を無料で受け付けています。手続きに関する疑問や、心配なこと、手続きに必要な時間など、気になっていることがあればお気軽にご相談ください。